軽商用車のMTは「当分なくならない」
「耐久性が高く、燃費もよく、そして車両価格を抑えたい」といった軽商用車には、現在でもMTがグレード設定されている。
例えば、ダイハツ ハイゼット、スズキキャリイなどは、MTのほうが8万~10万円ほど安く、また燃費もMTのほうが1km/Lも良いのだ。新車で税込100万円を切るような軽バン、軽トラの場合、この価格差は大きい。
筆者の実家には、今でも農器具を運ぶための軽バンがある。もちろんMTだ。荷台には耕運機や泥のついた野菜をそのまま「ドン」と積み込むなど、だいぶラフに扱っている。
車内の床は傷つき泥だらけ、荒れた道の先にある畑まで走るため、普通乗用車よりも消耗が激しく、買い替えもそこそこ発生する。そのため、普通車よりも、クルマの更新は、倍くらい早い。
農業従事者や商店事業者にとって、軽トラや軽バンのサイズ感や使い勝手は「最強」だ。
MT車の燃費に肉薄し、価格の安いコスパに優れたATが登場してこない限り、軽商用車のMTは、当分このまま生き残るだろう。
マニュアル車の今後 生き残る道は「2つ」
MT車が生きる道としては、スポーツ走行など趣味性を求めるドライバー向け、もしくは、コスパを求める商用車を求めるドライバー向け、の2つだと、筆者は考えている。
自動運転技術には、加速、減速、ステアリング操作はコンピュータが判断し、制御することが必要だ。
そのため、ドライバーの意図でギアを選ぶMTとは相性が悪く、AT主流の流れになっていくのは避けられない。
また、先述した通り、ゼロ発進時からフラットで強力なトルクを発生するモーターをもつストロングハイブリッド車においては、複数段のトランスミッションを持つ必然性がない。
もし仮に、「モーター駆動+多段ミッション」に、新たな可能性を見出し、「限られた環境でそのパフォーマンスが発生できる」使い道が見いだせれば、こうしたクルマが誕生する可能性はゼロではないだろう。
自動車メーカーよりも、モーターを扱う部品メーカーのほうが、こうした研究には強いかもしれない。
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