【消えゆく技術? 意外に根強い??】電動化でもMT車が生き残る事情と2つの「道」

【消えゆく技術? 意外に根強い??】電動化でもMT車が生き残る事情と2つの「道」

 今や日本の新車は99%が「オートマ」! スポーツカーからも消えゆく「マニュアル車」は、電動化が進んでも当分生き残る!?

 近年の日本では、新車販売の99%がAT(オートマチックトランスミッション)車であり、日産 GT-Rやトヨタ スープラ、ホンダ NSXといったスポーツモデルでさえ、MT(マニュアルトランスミッション)車の設定はなく、ATのみとなっている。

 また、ここ10年でハイブリット車やEVなど、クルマの電動化が加速し、さらには自動ブレーキシステム等との相性が良いことも、AT増加を加速させる要因となっている。

 少数派となってしまったMTであるが、クルマの電動化によって追い打ちをかけられることになるのだろうか。

文:吉川賢一
写真:ベストカー編集部、SUBARU、HONDA

【画像ギャラリー】意外に多数!? 現役国産 MT車 全18台!!


まだ意外に多い!? 国産MT車の現状

トヨタは2月に発売されたばかりの新型ヤリスにもMT車を設定。ホンダのフィットがMTを廃止したのとは対照的な動きだ

 2020年2月時点で、新車購入できるMT車を調べてみた。以下がそのリストだ。

【トヨタ】:新型ヤリス、GRヤリス、86、カローラスポーツ、カローラ、カローラツーリング、カローラアクシオ、カローラフィールダー、ヴィッツGR、ピクシストラック、ピクシスバン

【ホンダ】:シビックタイプR、シビックハッチバック、S660、N-VAN

【日産】:フェアレディZ、マーチ NISMO S、ノート NISMO S、NV350キャラバン、NV200バネット

【マツダ】:ロードスター、マツダ2、マツダ3、マツダ6、CX-3、CX-30、CX-5、ボンゴバン、スクラムバン、ボンゴトラック、スクラムトラック

【三菱】:ミニキャブバン、ミニキャブトラック

【スバル】:WRX STI(※2019年12月で注文受付終了、在庫販売分のみ)、BRZ

【ダイハツ】:コペン、ハイゼットトラック

【スズキ】:アルトワークス、スイフト、スイフトスポーツ、ジムニー、ジムニーシエラ、キャリイ、スーパーキャリイ

スバルはMTのラインナップが多かったが、WRX STIも生産終了となり、残るはBRZのみとなる

 概ね、趣味性の高いスポーツカー系と乗用車のスポーティグレード系、そして、軽トラックやバンといった商用車系に分かれる。

 各メーカーの傾向としては、トヨタはカローラをはじめ、乗用車、スポーツ、商用車系にMTを設定。

 ホンダと日産は、スポーツ系と商用車に設定、マツダはCX-8を除いた乗用車全車と商用車にMTを採用、スズキはジムニー/ジムニーシエラ、スイフトスポーツ、キャリイなどにMTを採用している。

 国内での新車販売台数におけるMT車の割合は1%程度ではあるが、これだけの種類のMT車が、現在も販売されている。

技術的にEVやハイブリッドでMTは難しいのか

2010年発売のハイブリッドスポーツ「CR-Z」は6MT車をラインナップ。同様にフィットハイブリッド RSにもMT車があった

 マイルドハイブリッドとMTの組み合わせは、技術的には難しくはない。

 過去、ホンダ CR-Z(2010-2017)に、ハイブリッドシステムとMTを組み合わせたモデルが存在していた。

 ドライバーがギアを選んで、エンジンのおいしい回転数を維持するといった、マニュアル車特有の運転操作においては、エンジン回転をアシストするモーター方式であれば、何の問題もない。もちろんアイドリングストップも共存できる。

 また、自動ブレーキシステムについても、MTであろうとなかろうと、緊急時には作動する。車速を強制的に「ゼロ」に落とすため、クラッチペダルをドライバーが踏まない限りエンジンストップを伴うが、そもそもクラッチ操作ができるならば、ブレーキができているハズだ。

2020年夏発売予定の改良型シビックタイプRはMT車ながら「ホンダセンシング」を新たに標準装備とする

 ただし、エンジン始動を伴わずにモーターのみで走り出せるフルハイブリッドとMTの組み合わせは、筆者の知る限りにおいては、研究機関やメーカーのテストカーを除いて存在しない。

「1速スタートはモーター駆動で、2速以降はエンジン駆動で」というスタイルは、そもそも「トルクバンドを生かした走り」のためにMT車を選んだドライバーにとっては、あまり意味がない。

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