レクサス初のBEV専用モデルとして2023年3月に登場した「RZ」が、この冬、大幅な改良を受けて生まれ変わる。2025年12月登場予定の新型RZは、BEVシステムを全面刷新。そして注目は、レクサスが新たに開発した「インタラクティブ・マニュアルドライブ(IMD)」と「ステア・バイ・ワイヤ(SBW)」の2大技術を搭載する新グレード「RZ550e “Fスポーツ”」の設定だ。内容的には「ほぼフルモデルチェンジ」と言っても過言ではない進化を遂げる。
文:ベストカー編集部/写真:池之平昌信
【画像ギャラリー】ステアリングもはや航空機じゃん!! 運転席がコックピット感あふれる新レクサス RZがアツイ(6枚)画像ギャラリーBEVで“新しいMT体験”をつくる――インタラクティブ・マニュアルドライブ(IMD)
IMDは、BEVには不要なはずのトランスミッションを、あえて“仮想的”に再現するシステム。パドルシフトで8段の“仮想ギア”を操作すると、駆動力制御やサウンド演出により、まるでエンジン車のMTのような歯切れのよいステップ感が味わえる。高回転ではあえて自動シフトアップ(的な感覚)を与えず、レブリミッターに当てる演出までしているというから、(とてもいい意味で)オタク感満載だ。
メーター表示もMTモード専用に変化し、音量の調整も可能。音の種類はひとつだが、レクサス独自のサウンドルールに基づく新しいモーター音が採用されている。自動シフトアップはなく、あくまでドライバーの操作で走りを組み立てる。
また、単なる“エンジン車のMTの再現”ではなく、「BEVでつくる新しいMT体験」を目指しているというから、今までにない楽しさを提供してくれるはずだ。
ステアリングを電気信号で操る――ステア・バイ・ワイヤ(SBW)
もうひとつの目玉が「ステア・バイ・ワイヤ(SBW)」。従来のステアリングシャフトを持たず、電気信号でステアリング操作を行う。
路面の接地感はタイヤを動かすアクチュエーターからの振動情報を基に、反力を生成して再現。そのため、不要な衝撃を完全にカットすることも可能だが、あえて適度なフィードバックを残して“選別”しているという。
操舵角は最大200度。低速ではクイックに、高速では安定性重視と、車速に応じてステアリングギア比をシームレスに可変し、自然な操作感を実現している。当初は150度を前提としていた設計を見直し、メカ構造を一新することで舵角を拡大した。
将来的には、ドライバーの好みに合わせてステアリング特性をカスタマイズできるようになる見込みだ。
海外でもまだ実用化されていないこの技術を、レクサスは世界に先駆けてRZで実装する。ステアリング形状もまるで飛行機の操縦桿のよう。静止状態で操作してみても、滑らかで上質な動きと手触りのよい握り心地が印象的だった。
RZのラインアップは3グレードに拡充

新型RZは、以下の3グレードで構成される。
・RZ550e “Fスポーツ”(4WD/航続距離582km)
・RZ500e(4WD/航続距離629km)
・RZ350e(FWD/航続距離733km)
4WDモデルには、進化版のDIRECT4が採用されており、前後トルク配分を緻密に制御。走行安定性と操縦性を高次元で両立させている。
IMDとSBW――この2つの技術が象徴するのは、「走る楽しさを電動車の時代にも継承する」というレクサスの姿勢だ。
単なる環境対応車にとどまらず、ドライバーの感性に訴える新世代BEVとして、RZはBEVスポーツの新しい基準を提示する存在になりそうだ。








コメント
コメントの使い方BEV初の仮想MTとありますが、ヒョンデ アイオニック5 Nの方が先なのでは?