大型トラックの脱輪事故――物流を支える現場でいま最も深刻な課題に、樹脂部品大手ニフコが新たな解決策を提示した。ホイールナットの緩みを“ひと目で検知”できるインジケーター「WaOSaFeTM(ワオセーフ)」がついに量産開始。ドライバーの安全と整備負担の軽減に貢献する注目製品だ。
文:ベストカーWeb編集部/画像:PRTimes
脱輪事故の課題に真正面から挑む、ニフコの新提案
近年、トラックの車輪脱落事故は後を絶たない。特に寒冷地でのナット緩みやメンテナンス不足が原因となり、歩行者を巻き込む重大事故も発生している。国交省も再三注意喚起を行うなど、社会的な問題として注目を集めている。
その背景には、2024年から施行された「物流の2024年問題」がある。ドライバーの労働時間規制による点検時間の圧縮が、整備不十分を招くケースも指摘されている。そんななかで登場したのが、ニフコのホイールナットインジケーター「WaOSaFeTM(ワオセーフ)」だ。
“ひと目で緩みがわかる”確実な安全確認
「WaOSaFeTM」は、ホイールナットに取り付けるだけでナットの緩みを視覚的に検知できる点検補助具。特許出願中の構造により、ナットが緩むとインジケーター部が可動し、矢印マークが判定エリアの外にズレて表示される。これにより、作業者は一目で増し締めの必要を判断できる。点検時間が短縮され、作業の確実性も向上する。
さらに、従来品の課題であった「組み付けの難しさ」も大幅に改善。圧入設計を見直すことで軽く、確実な装着を実現したほか、オモテ・ウラを間違えないユニバーサルデザインにより誤装着も防ぐ。
見た目にも配慮し、ホイールデザインに馴染むブラックとグレーの2色展開。安全装置にありがちな“後付け感”を抑え、車両の美観を損なわないのもポイントだ。
「物流の安全」と「ドライバーの負担軽減」を両立
ニフコはこれまで、自動車用ファスナーなどで世界的な評価を得てきたエンジニアリングプラスチックメーカー。その技術力を生かし、今回の「WaOSaFeTM」では安全性と使いやすさの両立を目指した。
ドライバー不足が深刻化する中、日常点検を効率化できる本製品は、現場の声に寄り添ったソリューションと言えるだろう。実際、大手トラックメーカーでも導入検討が進んでいるとのことで、2025年11月には一般販売が予定されている。
注目したいのは、こうした「小さな技術」で大きな事故を防ぐという発想だ。脱輪事故は決して珍しいトラブルではなく、一般ドライバーにも他人事ではない。トラックの安全管理が強化されることは、結果的に道路を共有するすべての人の安全につながる。






コメント
コメントの使い方