■グレード構成はシンプル! プロパイロットも搭載
グレード構成は「X」と、Xの特別バージョンである「ツートーンエディション」だけとシンプル。このツートンエディションはボディパネルだけでなくシートのサポート部、ドアトリム、インパネ回りなどに、ボディパネルに連動させた2トーン仕立てとした仕様にしているのが特徴となっている。ボディカラーは2トーンが4色、モノトーン8色で2トーンを売りのひとつにしている。
価格体系は、対抗モデルがトヨタ「C-HR」とホンダ「ヴェゼル」の両ハイブリッドとしていることから車両本体価格は280~310万円あたりに設定される見込みである。自動運転支援装置のプロパイロットやドアの自動オープナー、安全対策強化のための進化デバイスの装着具合ではこれより20万円程度上乗せされる可能性もある。
生産販売態勢で特徴的なのは国内製ではなく、日産のタイ工場で組み立てられ、日本国内で完成検査を受け販売店に配車されることである。つまりマーチと同じ手法を採用するのである。e-POWERユニットは日本から出荷され、現地で組み付けるものと思われる。
キックスそのものは、中南米やアジア圏などで3年ほど前から発売開始し好調に売れている。日本仕様は現地バージョンをベースにアレンジされ、輸入される見込みである。ただマーチのケースに見られるように、タイ製でも品質的には問題がないが、「発展途上国製」というイメージの悪さから、これまでの現地生産モデルはあまり売れ行きがよくない状況が多かった。
マーチは、国内製の時代は量販戦略モデルとして好調な販売実績を残していたが、タイ製に切り替えられてから衰退の一途となり、最近では生産中止も囁かれている。
新型キックスはマーケットニーズの高いコンパクトSUVのコンセプトであり、評価の高いe-POWERユニットを搭載するので、タイ製で初のヒット作になることも予想される。2020年4月末にも価格を決め、事前の先行予約を開始する見通しである。
■期待度は高いが販売現場には一抹の不安もあり
●証言1:首都圏日産店営業担当者
新型キックスに対する期待は大きいが、不安部分もある。ひとつは搭載するパワーユニットがe-POWERだけなのと、タイからの輸入モデルということだ。
e-POWER車だけだと、ガソリンNA車よりも50万円以上も高くなるので売りにくい。ジュークのように1.5L NAガソリン車や1.6L ターボ車が設定されれば安くなり、もっと幅広い層に売り込めるはずだ。これだけだとC-HRやヴェゼルと対抗できない。
タイからの輸入モデルだと、イメージ的によくないし、安定して供給ができない。マーチのように日本で完成検査を実施するので、品質的に問題がないとメーカーは説明するだろうが、イメージの悪さは払しょくできないはず。マーチの失敗の二の舞にならなければよいがと思っている。
●証言2:首都圏日産プリンス店営業担当者
ノートのe-POWER車は同シリーズの70%の販売構成比でリード役を果たしているので、新型キックスへの期待は大きい。価格がかなり割高になるので、残価設定クレジットの低金利設定などでカバーする必要がありそうだ。
e-POWERユニット自体はかなり改良されて、ワンペダル走行がよりやりやすくなっているらしいので、試乗を通じて走りのよさを周知徹底させるようにしたい。登録車では久し振りの量販可能なニューモデルが発売になるので楽しみである。
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