新開発ゆえのコスト増大
なぜスカイアクティブXの価格はここまで高いのか。
開発者に尋ねると、「スカイアクティブXは、エアーサプライシステムなども含めて、数々の先進機能を搭載している。従ってコストが高くなった。また新しいエンジンであることも、価格を高めた理由だ」と述べた。
クルマの価格は主に使われる部品の点数で決まるから、スーパーチャージャー、マイルドハイブリッド、パティキュレートフィルターなどを豊富に装着すれば、価格も押し上げられてしまう。
しかもスカイアクティブXは新開発エンジンだから、開発費用の負担も多い。10年前からさまざまな車種に使われているエンジンなら、すでに生産台数も膨大で償却も進んでいるが、スカイアクティブXにはこの実績がない。そのために1台当たりの開発コスト負担が増えてしまう。
クリーンディーゼルの買い得感が高い
スカイアクティブXが割高なら、マツダ3やCX-30で最も買い得なエンジンはどれか。機能と価格のバランスで見ると、1.8Lクリーンディーゼルターボがベストだ。価格はマツダ3XDプロアクティブツーリングセレクションが291万1741円になる。
2Lノーマルガソリンエンジンの20Sプロアクティブツーリングセレクションに比べると27万5000円高いが、スカイアクティブXのXプロアクティブツーリングセレクションに比べると40万7407円安い。
そしてディーゼルの最高出力は116ps(4000rpm)、最大トルクは27.5kgm(1600~2600rpm)だ。最高出力の数値は低いが、最大トルクはディーゼルとあって余裕がある。2Lノーマルガソリンエンジンの20.3kgm、スカイアクティブXの22.8kgmを大幅に上回る。
またマツダ3のディーゼルは、WLTCモード燃費が19.8km/L(2WD/6速AT)だから、スカイアクティブXの17.2km/Lと比べても優れている。しかもディーゼルが使う軽油は、価格(正確には軽油に含まれる税金)が安い。
新型コロナウイルスの影響で原油価格が下がった今は、1L当たり120円前後だ。レギュラーガソリン価格の140円、スカイアクティブXが使うプレミアムガソリン価格の150円を大幅に下回る。
購入時に納める税額(環境性能割+自動車重量税)も異なる。
マツダ3の2WD/6速AT仕様同士で比べると、2Lノーマルガソリンエンジンの20Sプロアクティブツーリングセレクションは8万円、スカイアクティブXのXプロアクティブツーリングセレクションは9万1200円
いっぽうディーゼルのXDプロアクティブツーリングセレクションは、クリーンディーゼルがクリーンエネルギー自動車になるから非課税(0円)だ。
そうなるとディーゼルと2Lノーマルガソリンエンジンの差額(27万5000円)は、税額の違いによって19万5000円に縮まる。
この実質差額は、燃料代の節約によって6万7000kmを走ると取り戻せる(レギュラーガソリン価格を1L当たり140円・軽油価格を1L当たり120円・実用燃費をWLTCモード数値で計算)。
ガソリンエンジンには自然な吹き上がりなど、ディーゼルとは異なる魅力があり、その運転感覚は走る楽しさを重視する今のマツダ車と相性がいい。
客観的に損得勘定で判断するとディーゼルが買い得だが、好みに応じてガソリンエンジンを選ぶ余地も十分にある。ただしスカイアクティブXはあまりにも割高だ。
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