新型フィット対新型ヤリス 販売台数の意外な差と裏側 第一ラウンドはホンダ圧勝?

■セールスパワーはトヨタに分があるが効率はホンダ優位

 トヨタは、2020年5月から全国規模での全車種全系列店併売がスタートする。ヤリスはこれまでネッツ店の専売制だったのが、トヨタ店、トヨペット店、カローラ店の3系列店でも扱われるようになる。普通に考えればセールスパワーは4倍にパワーアップするので、月販7800台は単純計算で3万1200台まで拡大することになる。

 ただフィットの3倍以上になることはないだろう。トヨタの営業マンにとっては販売可能な扱いモデルは50車種以上になる。今後2025年を目途に30車種程度に削減する予定だが、それでもホンダの19車種(2020年3月現在)に比べて10車種以上も多いのだから、ヤリス vs フィットだけのセールス効率から見ると、フィットのほうが優位といえる。

 最新のセールス勢力を数字で見ると、全国でトヨタは販社が2019年8月時点で275社、営業店舗数は4615拠点、推定営業マンは4万人となっている。これに対してホンダは675社、2167拠点、1万7000人であり、トヨタの半分以下である。

 ただコンパクトハッチバック車だけを挙げると、トヨタはヤリスのほかに「アクア」「パッソ」があり、このほかコンパクトハイトワゴンで「ルーミー/タンク」「ポルテ/スペイド」もある。ポルテ/スペイドはいずれモデル廃止になるにしても、ホンダに比べるとずっとワイドバリエーション態勢である。これに対してホンダはフィットだけであり、こちらだけに販売力を100%集中できる優位さがある。となれば、どちらが勝つかは難しい判断ともなりそうだ。

「アクア」「ルーミー/タンク」「ポルテ/スペイド」、そして「ライズ」といったモデルを抱えており、新型ヤリスのみに注力することが難しいトヨタ。その点では、「N-BOX」「フリード」があるものの、車種が少なくセールスマンが注力しやすいホンダが効率面で有利といえる

 販売政策も販売促進にとって重要な要因になる。ホンダはフィットの値引きを基本5万円(初回回答で下取り車なしの場合)と引き締めているが、その代わりに2020年3月末までのキャンペーンで1.9%の超低金利の残価設定クレジットを設定していた。4月からは通常の3.5%に戻しているが、5月以降にまた1.9%を復活させる可能性もある。

 ヤリスは15万円値引きからスタートさせているネッツ店が目立つ。ローン政策は扱い店によっていろいろだが、ネッツ店は5月末まで2.9%の残価設定クレジットを設定しているところもあるし、通常の4.3%で実施していると扱い店もある。4月4日からほかの4系列店でも受注の受付を開始した。正式な発売は5月からとなる。

 車両本体価格はフィットが155万7600~253万6600円に対して、ヤリスは139万5000~233万8000円であり、値引き差10万円をマイナスするとヤリスの方が20万円以上の買い得感があるが、実際の商談では下取り車の買い取り額やオプションサービスなどとの関連もありので一概に評価できない面もある。

■販売店がアピールする両モデルの推しポイント

●証言1:首都圏ネッツ店営業担当者
 新型ヤリスは引き続き好調な販売で推移している。人気の高いハイブリッドは納期が2020年7月にずれ込んでいる。ガソリン車は6月中に納まる。ヴィッツに比べると大幅にクオリティアップさせ、異次元の走り、同クラス最高レベルの低燃費を実現、さらに進化させた安心パッケージの「トヨタセフティセンス」を採用していることが上げられる。

 ライバルのフィットに対してはよりスタイリッシュなデザイン、走りのポテンシャルの高さが優位な点である。負けている部分は室内の広さくらいだ。

●証言2:首都圏ホンダカーズ店営業担当者
 新型フィットは引き続き絶好調の受注推移を見せている。納期は中心のハイブリッドで2020年6月上旬、ガソリンは5月下旬、先行オーダーした分で、グレード、ボディカラーが合致すれば1カ月で納められるケースもある。ひと頃に比べると多少落ち着いた感もある。

 売りとなっているのはシンプルで飽きの来ないスタイリング、ハンドリング、クオリティの高さ、さらに進化した安全パッケージの「ホンダセンシング」だ。

 ヤリスに対しては個性的なデザインでは負けるが、室内の広さでは優位にあることだ。燃費の数値はヤリスのほうがよいようだが、ガソリンタンクがヤリスは35L、新型フィットは40Lだから、満タンでの走行距離はフィットのほうが5L分余計に走れる優位さがある。

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