同じく大型化辿ったRAV4も新型はあえて「変化」求める
実はRAV4も、同様の道を歩んだ。結果、4代目は当初から日本で販売されていない。空白期間は、2013~2018年の5年におよび、RAV4の存在も忘れられかけていた。
しかしトヨタは、RAV4の空白期間がより長かったぶん、5代目の導入に際し全精力をつぎ込む開発と、広報・宣伝活動を行った。
米国で、それまでの乗用車販売1位を15年間続けてきたカムリを抜いてRAV4が2017年に1位となり、5代目の開発に際して北米市場からは従来路線の継承が望まれていた。
しかし5代目の開発を担った主査は、あえて変化を求めた。たとえ5代目が継承路線で成功したとしても、その先はないと読んだのだ。なおかつ同主査は、米国のハイランダー(国内ではクルーガー)と、国内のハリアーも担当しており、それらとRAV4を明確に分ける意識も働かせた。
まず、概観を大きく変えた。また、より本格的な4輪駆動車としての進化も技術的に加えた。
もちろん、ランドクルーザーやランドクルーザープラドのようなクルマにしようとしたわけではない。しかし、より頼りがいのある走りになったことを、外観と技術で明らかにした。
現行CR-Vの苦戦は今のホンダを象徴している
対するCR-Vの現行5代目は、あくまで4代目の継承・進化という姿であり、さらには3代目にも通じるような一連の流れの中での進歩にとどまっているように見える。3列シートの選択肢とハイブリッド車が加わったとはいえ、消費者の目にはあえて新車を買う意味を感じさせにくいのではないだろうか。
それでも試乗した印象はとてもよいクルマの感触があり、運転も楽しく、競合他社と並べて比べる意味のある一台と思わせた。
ただ、日本への再導入に際し、北米ではすでに2年前の1016年に発売されていたことから、CR-Vはそれほど大々的な発表会を催さなかった。販売計画台数も1200台/月と控えめだ。
RAV4の計画販売台数は、3000台/月であり、2倍以上だ。全国の販売点数がトヨタは約4900点であるのに対しホンダは約2200店であり、販売拠点数の差が出ているといえなくもない。
しかし、RAV4が昨年月平均で4500台近くを売ったのに対し、CR-Vは月平均で1100台に届かない。
単に販売店舗数の差や営業の力量だけではなさそうだ。ホンダカーズとして全店舗で同じ車種を扱う現在、軽自動車のN‐BOXは圧倒的な差で1位を連続で達成しているからだ。
ホンダが初代CR-Vを売り出したかつて、倒産の危機から脱しようと、研究所、本社、そして広告代理店が一体となり、全力で打ち出したクリエイティブムーバーの時代と、現在のCR-Vの販売にかける投資と団結力が大きくかけ離れているように見える。
これでは消費者の選択肢に加わりにくい。ホンダ本社の経営が揺れ動く様を、SUV人気が続く市場にもかかわらず低迷するCR-Vの販売台数が表わしているようだ。
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