東京オートサロン2020で市販車が公開され、現在ファーストエディションの先行予約受付中となっているトヨタGRヤリスは、モータースポーツ参戦ベース車両ということもありワイド化された前後フェンダーも迫力あるものとなっている。
しかしGRヤリスの全幅は5ドアのヤリスに対し110mm(1695mmから1805mm)の拡大なのに対し、過去にはGRヤリス同様の主にモータースポーツ参戦のためGRヤリス以上に全幅を広げた迫力あるフェンダーも持ったモデルも存在していた。
クルマ好きにはいろいろなタイプがいるが、無類のオバフェン好きという人にとってはたまらないクルマたちだ。
当記事ではコンパクトなのにマッチョに武装されたクルマたちを振り返る。
文:永田恵一/写真:RENAULT、PEUGEOT、TOYOTA、DAIHATSU
【画像ギャラリー】オバフェン好きにはたまらない!! ベース車との違いに愕然の小さなマッチョカー!!
ルノー5ターボ
全幅:1525mm→1750mm
1972年に初代モデルが登場したルノー5(サンク)は現在の本国名クリオ、日本ではルーテシアの前身となるコンパクトカーである。
初代5はテレビドラマの「ビーチボーイズ」にも登場したルノー4の駆動系を使っていたためエンジン縦置き、しかも前からトランスミッション、デファレンシャル、エンジンの順で並ぶというマニアックなFF車だった。
初代5には1.4L、NAのアルピーヌ、1.4Lターボのアルピーヌターボというスポーツモデルもあったが、当時WRCのトップカテゴリーであるグループ4はグルーブBという連続する24カ月に400台生産されたベース車を使うというレギュレーションに合致させるべく1980年に登場したのが5ターボだ。
5ターボは225mmというボディの拡幅、アルピーヌターボの110psに対し160psにパワーアップされたエンジンに加え、エンジン搭載位置は初代5の珍しいエンジン縦置き構造を前後逆にした2WDのミッドシップとなっており、要するに5とは別のクルマである。
さらにボディパネルも軽量化のためルーフ、ドア、バックドアはアルミ、それ以外の鉄板も薄いものとなっており車重は920kgに納められた。
5ターボは市販車が1700台近く生産された(≒売れた)こともあり、1982年にはボディパネルは鉄板、インテリアも5アルピーヌと共通し低価格化を実現した5ターボIIも加わり、5ターボIIは3000台以上が生産された。
WRCでの成績は2WDだったこともあり6年間で4勝とそれほどではなかったが、モータースポーツ参戦のための特殊なホロモゲーション取得モデルとしては大成功を収めたモデルと言える。
プジョー205ターボ16
全幅:1590mm→1700mm
1983年登場のプジョー205はルノー5同様のコンパクトカーで、日本でもスポーツモデルのGTIが人気になった。
1984年登場の205ターボ16もルノー5ターボ同様のWRCのグルーブBカテゴリー参戦のためのホモロゲモデルである。
クルマの成り立ちもエンジン横置きというのはベースの205と変わらないものの、エンジン搭載位置はそのままキャビン後方としたミッドシップ、駆動方式は前34対後64の駆動力配分となる4WD、エンジンは205にはない200psの1.8Lターボを搭載。
サスペンションは簡易なものだった205に対し四輪ダブルウィッシュボーン、キャビン部分以外のボディパネルはFRPと、ルノー5ターボ以上にベース車に対する「別のクルマ度」が強いモデルだった。
205ターボ16はレギュレーション取得のため200台が、本国では29万フラン(当時のレートで計算すると日本円で約800万円)という内容を考えれば激安価格で販売された。
また205ターボ16は1984年から参戦を開始したWRCで1985年と1986年にドライバーとメイクスのダブルタイトル2連覇を遂げた。
しかしあまりの速さゆえ競技中の死亡事故の多発によりWRCのトップカテゴリーは1987年よりグルーブBからスピードを抑えたグループAに移行。
WRCでは戦う場を失った205ターボ16だったが、1987年からは戦う場をパリダカールラリーに変え、1987年と1988年には総合優勝を飾った。
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