トヨタ222D
全幅:1665mm→1880mm
1980年代前半、WRCにグループB仕様となるFRの3代目セリカで参戦していたトヨタはFRで戦う限界を感じ始めていた。
またレギュレーションもグループBの後継でグルーブBのパワーを抑え、ホモロゲーション取得に必要な生産台数も市販車200台からプロトタイプ10台に抑えたグループS規定へ移行しそうだったこともあり、トヨタはグルーブS規定となったWRCに初代MR2ベースでの参戦を計画していた。
それが初代MR2のような見た目をした222Dだった。
222Dは見た目こそ初代MR2のようだが、ヘッドライトはセリカのような固定式、全幅は215mmも拡大され、パワートレーンは1.6L、4気筒を横置きミッドシップとした初代MR2に対し2Lターボをエンジン縦置きにしたミッドシップの4WDと、前述の2台同様に初代MR2とは別物だった。
しかしグルーブS規定はグルーブBの派生だったこともあり、WRCのレギュレーションがグルーブAに移行した際にお蔵入りとなり、残念ながら222Dも幻となってしまった。
ダイハツデトマソ926R
全幅1575mm→1640mm
現在のダイハツブーンの前身的な存在となるシャレードは3代目モデルまでWRCなどのラリーへの参戦に熱心なモデルだった。
という背景もあり2代目モデルだった1984年にグルーブB規定でのWRC参戦のため、大幅なボディサイズ拡大や駆動方式の変更こそなかったものの排気量でわけられる参戦クラスを有利にするために、排気量をカタログモデルのターボの993ccから926ccに下げた926ターボを200台限定で発売した。
その後926ターボをさらに過激というか別のクルマにしてしまったのが1985年の東京モーターショーに出展されたデトマソ926Rである。
デトマソ926Rはボディの拡幅、エンジン横置きのままでのミッドシップ化、926Rの76psから120psへのパワーアップなどが施され、簡単に言えば和製ルノー5ターボのような存在だった。
モーターショーで公開し、メディアからの評判もよかったものの、モータースポーツ界でグルーブB規定が消滅してしまったこともあり、デトマソ926Rも222Dと同様に戦う場を失い、幻に終わってしまった。
ルノールーテシアルノースポールV6
全幅:1670mm→1810mm
コンパクトカーのルーテシアは本国では現行型5代目モデルに移行しているが、日本では在庫販売となっている4代目モデルまでスポーツモデルのRSをラインナップするなど、スポーツモデルにも力を入れているモデルだ。
そのルーテシア史上最もインパクトがあったのが2代目モデルにあったルノースポールV6である。
ルノースポールV6はモータースポーツに対してはワンメイクレースのベース車ということで、ここまで挙げた4台ほどの名声や知名度はない。
しかしボディの拡幅はもちろん、パワートレーンは横置きミッドシップにルノー製のV6エンジンを搭載するという客観的に考えればまったく必要性はないどころか、「エンジンに乗せてもらっているような」という実に無駄な成り立ちが素敵と言えば素敵な、「5ターボの再来」という言葉がピッタリのスポーツモデルだった。
乗り味も競技車両的なスパルタンさは薄い代わりに比較的ソフトかつ普通に乗っても楽しいものとなっていた。その割に価格は前期型で495万円と、モータースポーツとの関わりはさほどではなくとも、その楽しさやスペシャル感を今になって考えれば激安だった。
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