現在、飛ぶ鳥を落とす勢いのカテゴリーといえばSUVだ。4月の販売台数トップをトヨタ C-HRが取るなど、街乗りからアウトドアまでカジュアルに使えるSUVは幅広い支持を集めている。
そこで、コンパクトからミディアムクラスまで全15台の個性豊かなSUVをランキング。
「SUVはほしいけど、砂利道を走る機会はそんなに多くない」という人向けに、今回はオンロードでの性能で評価!!
文:国沢光宏/写真:編集部
ベストカー2017年5月26日号
同じジャンルのSUVといえども、車種によって求められている魅力の内容は違ってくる。ただ、一番重要なのは「何に魅力を感じてSUVを選ぶか?」という点にあると思う。
実用車として買うなら、リーズナブルな2BOXの乗用車でいい。よって走る楽しさまで含めた「総合性能」という軸でチェックしてみたい。
12〜9位は実用性重視のSUV
■12位 ハリアー
ハイブリッドのほうがふつうの2Lエンジンより動力性能で優勢。とはいえ、ヴェゼルやエクストレイルと同じく、積極的に走りを楽しむようなクルマは目指していないと思う。
SUVとしての雰囲気や、優れたコストパフォーマンスで人気。ベストカーの読者がハリアーに乗っても「楽しいですね!」とはならないです。
ただ、前出3モデルとも毎日の相棒として使って不満なし。こういうクルマが売れると、もっといいクルマは作りにくい?
■11位 エクストレイル
日産で一番売れているSUV。ヴェゼルと同じく弱点なし。ハンドル握っていると「ふつうのクルマですね」と思う。
走りの評価以外の商品性(使い勝手やコストパフォーマンス)が優れていると考えればOK。ハイブリッドとふつうのエンジンの差も少ない。走りの評価というより、御予算と年間走行距離で決めればいい。
■10位 ヴェゼル
売れているSUVが走りの評価で下位に沈んでしまうあたりに、現在の日本のクルマ事情の“ねじれ”を感じます。
つまり、動力性能を含めた走りのよさより、デザインや価格、使い勝手を含めた“商品性”がユーザーにとって重要だということなんだろう。
そういった意味ではヴェゼルの走りはふつう。特に優れた点なく、もちろん弱点もありません。
■9位 CX-3
やはり絶対的な動力性能が物足りない。最も軽いFFのマニュアルすら1250kgもあり、低速トルク太いとはいえ105psエンジンで走らせるのは厳しい。
もう少しパワフルなエンジンを搭載したうえ、アンダーステアに終始する実用車的なハンドリングから、スポーティな味付けに切り替えれば上位に入ってくる。マツダ車全般にいえるのだけれど、遊び心ありません。
ここからが走りの楽しさを積極的に味わえるモデル。9位以下は実用SUVということになります。
6位以下はパワーはないが、魅力的なモデルが揃う
ハンドリングを中心とした評価をするなら、もっともっと上位に入れたいが、いかんせんパワー不足。1.2Lターボも絶対的な動力性能でハイブリッドとイーブン。せめてマニュアル車でもあればいいけれど、それもない。
C-HRに250ps級の1.6Lターボでも搭載してくれたら、迷うことなく1位にすることだろう。
■7位 アウトランダーPHEV
ビルシュタイン仕様も含め、標準のサスペンションだと60点くらいしか付けられないが、良質のダンパーに交換してやるとクルマの質感や楽しさは劇的に向上する。
もはや「すばらしい!」としか言えないほど。なんたってクルマについちゃウルサイ私が気に入ってアウトランダーPHEVばかり乗ってるほど。モーター特有のレスポンスのよさや静かさも大いに魅力的である。太鼓判。
■6位 XV
6位以下はパワーという点で突出したモデルがなくなる。ふつうのエンジンで見事1位となったのが、出たばかりのXV。
早くも雪道や泥濘地を含めたさまざまな路面コンディションで試してみた。すると楽しいです。200mmという充分な最低地上高を持ち、さらにXモードという精密な4WD制御も付く。
本格的なクロカン4WD顔負けの悪路性能を持ちながら、インプレッサと同等のオンロード性能持つ。2L直噴搭載モデルなら動力性能だって合格点です。
■5位 ジューク
走りを評価するとモデル末期のクルマばかり出てくるけどしかたない。新型車を見たらハイパワーエンジン搭載グレードがまったくありませんから。
ジュークの1.6Lターボや、そいつをモディファイしたニスモのハンドル握ると、素直に楽しいと感じる。次期型のジュークもパワフルな1.6Lターボエンジン搭載グレードを残してほしいと思う。
パワフルなエンジンを持つSUVが上位にランク
これまたモデル末期ながら、ハンドル握るとニコニコしてしまう。平均的なSUVを都会で履けるトレッキングシューズとすれば、ジムニーシエラって「登山靴」の入り口。奥ゆきあって楽しい。
次期型は現在の奥ゆきをキープしながら、少しだけ安全装備を加えてくれたら最高である。軽自動車のジムニーと合わせ、多いに期待しておく。
■3位 NX
2Lターボエンジンを搭載しているためポテンシャルは高いのだけれど、4WD性能が実用車である。高額車なのに“華”を持っていない。
ハンドリングだってCX-5よりレベルの低い段階でアンダーステアに終始してしまう。それでも3位に入るのは今や希少な存在になったターボエンジンを搭載しているためだ。パワーのないハイブリッドだと50点くらいしか付けられない。
■2位 CX-5
本来なら420Nmというトルクフルなエンジン積むCX-5を1位としたいところながら、残念ながら遊び心が足りない。
雪道走っても常に安定性重視の弱アンダーステアに終始。ドライバーを楽しませようという気持ちを感じないのだった。
優れた道具を作るという観点からすれば世界トップクラスの仕上がりだけれど、やはり生活四駆のジャンルから出てこられない。ただし、「楽しさ」を除いた走りの性能はすばらしいと思う。
■1位 フォレスター
来年夏にも新型車が出るタイミングながら、現在フォレスターを超える走りの楽しさを持つSUVなし! C-HRやXVのように走りのレベルが高いSUVもあるのだけれど、絶対的な性能という点で足りません。
モデル末期だからして総合評価では上位に入れにくいが、純粋な走りの評価だとアタマひとつ抜いてトップでございます。お金を貯めておき、次期型フォレスター狙ってほしい。
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