■大型ガラスルーフがあったけど、残念だったクルマ
●日産 ラフェスタ
2004年12月に登場した○○ホテルのような車名を持つラフェスタは、プレーリーリバティの後継車となる、5ナンバーサイズでスライドドアを持ち、全高はそれほど高くないという乗用車的なミニバンだった。
機能的には目立つところはなかったラフェスタにとって最大の特徴だったのが大型ガラスルーフの先駆けとなるパノラミックルーフだった。ラフェスタの初期モデルには全グレード標準装備だったパノラミックルーフ(全グレードにレスオプション車もあり)は長さ1500mm×幅800mmというものだった。
しかし、ラフェスタの初期モデルは全体的にゴーン体制初期の日産車で感じることが多かった詰めの甘さや出来の悪さが目立ち、直接的ではないにせよライバル車だったトヨタウィッシュやホンダストリームに対するアドバンテージはパノラミックルーフとスライドドア以外なかった。
詰めの甘さやできの悪さはモデルサイクル中盤あたりから改良されたのだが、悪い意味でクセを感じるスタイルまでは変えられず、最終的にはマツダプレマシーのOEMとなるラフェスタハイウェイスターを後継車に日産製ラフェスタは姿を消した。
●日産 キューブ(3代目モデル)
2008年登場の3代目キューブは2代目モデルのキープコンセプトながら、居心地のよさや癒しといった雰囲気的なものを武器に、面白みこそないもののコンセプト通りに仕上がったコンパクトハイトワゴンだった。
3代目キューブに設定されたスタイリッシュガラスルーフは大型ガラスルーフというにはコンパクトなものだったが、シェードは通常の硬質なものに加えガラスと通常のシェードに間にSHOJIシェードと命名された文字通り障子にように調光できる機能も備えていた点は面白かった。
しかし、3代目キューブは当サイトで筆者が何度か書いたように10年以上となったモデルサイクルのなかで、自動ブレーキに代表されるアップデートが足りなかったことが致命傷になり、ここ数年は販売が低迷。つい最近最後までスタイリッシュガラスルーフを設定しながら絶版となった。
●スバル エクシーガ
2008年登場のエクシーガは当時のSIシャーシと呼ばれるプラットホームを使った、スバルとしてはオペルザフィーラの兄弟車となるトラヴィック以来の3列シートを持つミニバンである。
ボディサイズやステーションワゴンに近いミニバンというキャラクターがホンダオデッセイの3代目と4代目モデルに近かったエクシーガは、後方のシートに行くにつれて着座位置が高くなるシアターレイアウトの採用も含め実用的に使える3列目シートを備えていた点、スバル車らしい安心感ある走り、スバル車としては珍しいFF車も設定したコストパフォーマンスの高さなど、隙のない商品だった。
また、大型ガラスルーフとなるパノラミックガラスルーフも、今になるとそれほど目立たない装備ながら設定していた。
エクシーガは、3代目キューブとは対照的にアイサイトや新世代のエンジンの搭載といった、3代目キューブと同様の長いモデルサイクルながら着実にアップデートを受けながら、スバル車らしくクルマを進化させていた。
しかし、皮肉なことにエクシーガが登場した時点でエクシーガや3代目と4代目のオデッセイのようなステーションワゴンに近いミニバン自体は実用的に使える3列目シートを持っていても下火となっており、エクシーガの販売は伸び悩んだ。
エクシーガは2015年に延命処置的にSUVの要素を盛り込んだクロスオーバーとなるクロスオーバー7に移行し、2017年に絶版となった。
スバルの3列目シート車としてはアメリカで販売される大型SUVのアセント(大型ガラスルーフの設定もあり)の、形は問わない日本導入に期待が掛かる。
「大型ガラスルーフを採用したけど残念だったクルマ」を振り返っていると、こういった原稿を書きながら「大型ガラスルーフはあれば望ましいけど、それがクルマ全体では決定的な要素ではない」というのが率直な印象だ。
それだけにタフトの大型ガラスルーフは話題にはなるにせよ「大型ガラスルーフがあるから売れる」とも考えにくく、大型ガラスルーフのことも頭に置きながらまずタフトのクルマ自体の仕上がりに注目したいところだ。
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