クルマはどんどん重くなっている。衝突安全性能を高め、先進運転支援システム(ADAS)を搭載し、電動化すれば、どうしても重量もコストも増えてしまう。だったら、安全性能を高めながらクルマを軽くできないか?スズキが2026年9月25日に開催した「技術戦略説明会2026」で示した答えが興味深い。目標は2030年に向けて「100kg」の軽量化。さらに将来的なアイデアまで含めれば、最大120kgもの軽量化を検討しているという。
しかも、ただ薄い鉄板を使って軽くするわけではない。衝突時のエネルギーをどう逃がすかというクルマの構造そのものから見直し、最後は「ボルト1本で約1g」という地道な軽量化まで積み上げる。まさに「軽さのスズキ」の本領発揮だ。
文:ベストカーWeb編集部/写真:SUZUKI、ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】次世代スズキの「小・少・軽・短・美」を実現する技術を大公開!!(22枚)画像ギャラリー安全にすれば重くなる……その常識を変える
どれだけ効率のいいパワートレインを作っても、クルマそのものが重くなれば、走らせるために必要なエネルギーは増える。すごく簡単に例えれば自転車でスーパーマーケットに行き、買い物をした後と前ではどちらが楽に漕げるか。
考えるまでもなく軽い自転車のほうが軽快に漕げるし、加速も減速もコーナリングも楽になるだろう。クルマも同じだ。軽ければ運動性能もよくなるし、同じエンジンであれば原理としては燃費だって良くなる。そうなればどんどん軽くしたいところだが、実際はそこにジレンマが起こる。
それが安全性能の要求が年々上がっているということだ。従来の発想で衝突安全性能を高めようとすれば、車体骨格を強化する必要があり、その結果として重量やコストが増える。せっかく燃費がいいエンジンも効果が減ってしまう。
そこでスズキは、2030年以降を見据え「安全性能を高めながらクルマを重くしない」という難題に取り組んだ。そのために車体だけではなく、パワートレイン、電装、生産技術、さらには二輪、四輪、船外機まで部門を越えて知恵を持ち寄ったという。
そこでたどり着いたひとつの考え方が「衝突エネルギーのコントロール」だ。
エンジンを前へ動かす!? 「強くする」だけが安全じゃない
スズキが考えたのは、単純にボディを頑丈にする方法ではない。ポイントとなるのが「衝突ストロークの最適化」だ。
衝突時にエネルギーをただ受け止めるのではなく、エンジンなどの重量物を乗員からどう遠ざけ、衝撃を吸収するための変形スペースをどう確保するかを考える。そのため、エンジンをより前方へ配置するなど、パワートレインを含めた車両レイアウトそのものを最適化する。
つまり「鉄を増やして強くする」のではなく、「衝突した時にどう変形させるか」をクルマ全体で設計することで、安全性能と軽量化を両立しようというわけだ。こうした構造やレイアウトの見直しに加え、材料や各部品、仕様まで徹底的に再検討することで、スズキは2030年に向けて100kgの軽量化に目途をつけたという。
さらに将来的なアイデアを含めれば、最大120kgの軽量化も検討しているという。

























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