ムーヴキャンバス 軽ハイトワゴン&スライドドアの実力者の大人気の理由


 今や軽自動車はスーパーハイトワゴン一色と言っていいほど売れている。それをけん引しているのは、ホンダN-BOXにほならない。

 そのいっぽうで、かつて一世を風靡したワゴンR、ムーヴに代表されるハイトワゴン軽自動車は販売面で苦戦が続いている。

 そんななか、ムーヴの派生車として登場したムーヴキャンバスが独自のポジションを確立して、本家ムーヴの販売を凌駕する人気となっている。決して目立ちはしない、行ってみれば影の実力車といったところだ。

 ムーヴの派生車はこれまでかわいい路線できたが、それとは一線を画すムーヴキャンバスが人気の理由について、渡辺陽一郎氏が考察する。

文:渡辺陽一郎/写真:DAIHATSU、SUZUKI

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タントの苦戦でダイハツとスズキが熾烈なトップ争い

2019年7月にDNGA採用第1弾として軽自動車初技術を満載して登城したタントは、イマイチ突き抜けた感がなく苦戦が続いている

 軽自動車の販売ナンバーワンメーカーはダイハツだ。以前は1973年以来、スズキが1位だったが、2007年(暦年)にダイハツがトップに立った。この時から、2014年以外は、ダイハツが軽自動車販売の首位を守り続けている。

 ところが今年はどうなるかわからない。2020年1~6月の軽自動車販売累計台数を見ると、ダイハツが24万1237台、スズキは24万992台だ。ダイハツが1位だが、スズキとの差は245台だから、ほぼ同じ販売実績になる。

 ちなみに2019年1~6月の台数は、ダイハツが1万5448台多かった。それ以前は2万台の差を付けていたこともある。

 今年はコロナ禍の影響も受けたから、この販売実績が本来の商品力や販売力を反映した結果とは限らないが、接戦であることに変わりはない。

 ダイハツとスズキが僅差になった一番の理由は、ダイハツタントの伸び悩みだ。2019年7月に現行型へフルモデルチェンジされたので、それ以降は売れ行きを急増させると思われた。

スズキの軽自動車をけん引するのは今やワゴンRではなく、スーパーハイトワゴン軽自動車のスペーシア/スペーシアカスタム/スペーシアギアだ

 しかし2019年10月以降の売れ行きは、11月を除くと、対前年比が横這いだったり、減少している。

 その結果、通常はフルモデルチェンジの直前に用意するような格安の特別仕様車をコロナ禍の前に設定した。稼ぎ頭が挫折したダイハツの困窮ぶりがうかがえる。

本家ムーヴを凌駕する販売をマーク

本家ムーヴを凌駕する人気モデルとなっているムーヴキャンバスは、現在の軽自動車のなかでは非常に個性的なコンセプトで作られている

 この厳しい状態で、今のダイハツを陰で支えるのがムーヴキャンバスだ。全国軽自動車協会連合会の販売統計では、ムーヴに含まれて発表されるが、実際はムーヴ全体の50~55%をムーヴキャンバスが占める。

 2020年1~6月の速報値によると、軽自動車の販売1位はN-BOXで10万1454台、2位はスペーシアで6万5323台、3位はタントで6万2253台だった。4位のデイズ(先代デイズルークスを含む)は5万5239台で、5位がムーヴの4万8283台になる。

リアコンビはクリアタイプの中に赤丸をいれるなどして、新しさとレトロ感が同居している。ユーザーのデザインに対する満足感は高いという

 このムーヴの販売台数の内、ムーヴキャンバスは約2万5000台を占めた。1カ月平均なら4200台前後だから、コロナ禍の影響も考慮すると、発売から約4年を経ながら立派な売れ行きだ。

 アルト(ラパンを含む)は2020年1~6月に3万570台、1カ月平均で約5100台を販売しており、ムーヴキャンバスはこれに次ぐ台数になる。

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