本家ムーヴを凌駕する販売をマーク
この厳しい状態で、今のダイハツを陰で支えるのがムーヴキャンバスだ。全国軽自動車協会連合会の販売統計では、ムーヴに含まれて発表されるが、実際はムーヴ全体の50~55%をムーヴキャンバスが占める。
2020年1~6月の速報値によると、軽自動車の販売1位はN-BOXで10万1454台、2位はスペーシアで6万5323台、3位はタントで6万2253台だった。4位のデイズ(先代デイズルークスを含む)は5万5239台で、5位がムーヴの4万8283台になる。
このムーヴの販売台数の内、ムーヴキャンバスは約2万5000台を占めた。1カ月平均なら4200台前後だから、コロナ禍の影響も考慮すると、発売から約4年を経ながら立派な売れ行きだ。
アルト(ラパンを含む)は2020年1~6月に3万570台、1カ月平均で約5100台を販売しており、ムーヴキャンバスはこれに次ぐ台数になる。
ハイトワゴン+両側スライドドアはムーヴキャンバスのみ
ムーヴキャンバスの全高は1655mmで、ムーヴと同等だが、後席側のドアはスライド式だ。
そして今のスライドドアを備えたタント、N-BOX、スペーシア、ルークスなどは全高がすべて1700mmを上まわるため、1700mm以下でスライドドアを備える軽自動車はムーヴキャンバスのみになる。
このほかにもムーヴキャンバスの特徴は多く、フロントマスクには楕円形のヘッドランプを装着してグリルの開口部は小さい。フロントウインドーの角度は直立するが、リアゲートには少し傾斜を付けた。ボンネットやドアパネルは、丸みがあるように見える。
N-BOXやスペーシアの開発者は、「スライドドアを備えた背の高い軽自動車は、車内の広さを外観でも表現する必要がある」と口をそろえる。
スペーシアの前身となるパレットは、ボディサイドを上に向けて絞り込み、台形風のスタイルとして安定感を演出した。
一般的なデザイン手法だが、「車内が広そうに見えない」と言われて売れ行きも伸び悩み、車名をスペーシアに変更してボディを直線基調に改めている。
その結果、売れ行きは伸びたが、外観はどの車種も似ている。特にエアロ仕様のタント/N-BOX/スペーシアのカスタム、ルークスハイウェイスターは、見分けが付かないほどだ。こういった定番デザインの隙を突いたのが、ムーヴキャンバスであった。
デザイン、ボディカラーへのこだわり
外観は可愛らしさと併せてクラシックな雰囲気も併せ持ち、丸みのある形状は、いわゆるワーゲンバス(往年のフォルクスワーゲンタイプI/ビートルをベースに開発されたワンボックスボディのタイプII)に何となく似ている。
可愛らしくても、以前のムーヴラテのような愛玩動物風ではなく、落ち着きも感じる。このような性格の軽自動車だから、エアロ仕様は用意されず、ターボエンジン車も選べない。標準ボディのノーマルエンジンのみだ。
個性的な外観を際立たせる外装色に、ストライプスカラーも用意した。一般的な2トーンカラーはボディの上側と下側を別々の色彩にするが、ストライプスカラーはドアパネルやフェンダーの中央部分だけを別の色彩に分けている。上下は同色になるのが特徴だ。
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