実用性が高くユーザーの満足度が高い
そこでムーヴキャンバスの狙いを開発者に尋ねた。
「最近は晩婚化が進んだ影響もあり、就職している娘と両親の同居する世帯が増えた。1台のクルマを平日は母親、週末は娘が友人と遊びに出かけるのに使う。そこでムーヴキャンバスを開発した」という。
「後席の下には、引き出し式の収納設備が備わる。引き出した状態で中敷きを持ち上げると、収納設備がバスケット状になって上に置いた買い物袋が倒れない。L以外の全車に両側スライドドアの電動機能を採用したので、買い物を済ませてムーヴキャンバスに戻ったら、右側のスライドドアを開けて買い物袋を置く。電動スライドドアを閉めながら運転席に乗り込めば、動作もスムーズで簡単だ。これは主に母親向けの機能になる。また前後席ともに広く、デザインもオシャレだから、娘が友達3人を乗せて出かける時も快適で楽しい」。
中高年層からの需要も多い
ユーザーの反響を販売店に尋ねると以下の返答だった。
「最近のお客様は子供の頃から自宅にミニバンがあり、スライドドアに慣れている。ただしタントでは天井が高く洗車もしにくい。ここまで広い車内は必要のないお客様もいる。そこでスライドドアを備えた別の軽自動車が求められた時、ムーヴキャンバスを提案すると購入していただけることが多い」。
ムーヴやタントとの違いも尋ねた。
「後席が横開きドアのムーヴは、価格も割安だから、法人を含めて実用重視のお客様が多い。タントは標準ボディは子育て世代、カスタムも比較的若いお客様が若い。その点でムーヴキャンバスは、ボディカラーも豊富で、落ち着いた色彩を選べる。子育てのイメージもなく、中高年齢層の男性が買うことも多い。またターボがないので、街乗り向けになり、その意味でも中高年齢層のニーズに合う」。
好調に売れるクルマのあり方
ムーヴは実用重視、タントも子育て世代のツールという印象だが、ムーヴキャンバスは大人っぽいセダン的な感覚で購入されているらしい。そのために男女を問わず年齢層も幅広い。
ムーヴやタントがカバーできない顧客に好まれ、堅調に売れているわけだ。またスライドドア装着車の人気が高い割に、選択肢は限られることも、ムーヴキャンバスが売れる要因だ。
ムーヴキャンバスの販売台数は特に多くないが、商品コンセプトや戦略の立て方は、ダイハツのナンバーワンといえるほど巧みだ。スズキでいえばハスラーに似ている。
従ってムーヴキャンバスの発想を参考にすると、好調に売れる新しいクルマのあり方が見つかるかも知れない。それはダイハツ対スズキの販売競争にも影響を与えるだろう。
2020年秋にはホンダからN-ONEも登場する。定番モデルだけが売れる軽自動車市場に、新しい風が吹くかも知れない。
【画像ギャラリー】パステル調からシックなカラーまで15色をラインナップ!! ムーヴキャンバスはボディカラーによってイメージが激変!!
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