アルファロメオの魅力と大きな課題 カッコいい車の代名詞が売れていない…??

 熱狂的ファンの存在する輸入車では、MINIが有名だが、それに負けず劣らず熱いファンが存在するのがアルファロメオだ。

 アルフィスタなる言葉が昔から日本でも浸透しているとおり、世界的に人気が高いイタリアンブランドだ。

 まず、アルファロメオ人気は日本が顕著なのか? それとも世界的なものなのだろうか? そしてアルファロメオの人気の理由は過去の名声、つまりブランド的遺産なのか?

 現在日本で購入できるモデルの魅力を訴求しつつ、日本人がアルファロメオが好きな理由、克服すべき課題について岡本幸一郎氏が考察する。

文:岡本幸一郎/写真:FCA

【画像ギャラリー】2020年内での生産中止が決定!! アルファロメオのスーパースポーツカー4C&4Cスパイダーの艶やかな姿を愛でる!!


アルファロメオのグローバル販売台数はそれほど多くない

 ドイツ勢が圧倒的に強い日本の輸入車市場でも、存在感を発揮している非ドイツ系ブランドがいくつかある。アルファロメオもそのひとつ。

 販売台数としてはそれほど多くなく、ここ10年では2012年の4452台がピークで、2014年以降は3000台に達していないというのは意外に感じたのだが、容姿が目立つせいか実際の台数よりも売れているように錯覚していたようだ。

日本では2009年から販売を開始したミトは、アルファロメオの販売台数増強に大きく貢献したが、現在は販売していないため、全体の台数が大きく減っている

 あるいはアルファロメオが持つ魔力によって、無意識のうちに贔屓目で見てしまっていたせいかもしれない。

 アルファロメオは日本だけでなくグローバルでもあまり売れていない。実は、もっとも多かった1980年代でも、せいぜい18万台程度だったという。

 もっと売れているイメージがあったのだが、意外とそうでもなかったことと、それが意外やヒットモデルの「156」の時代ではなかったことはちょっと驚いた。

アルファロメオの少年を咥えた蛇がモチーフとなっているエンブレム、盾形のフロントグリルに魅せられている人は少なくない

 それでもアルファロメオは話題にことかかない。ブランド力は極めて高く、熱狂的な多くの愛好家に支えられている。たとえ売れていなくても人気はあるという不思議な位置づけのブランドである。

歴史上最も売れたのは156

フェラーリの創始者であるエンツォ・フェラーリ氏がドライブして欧州のモータースポーツ界を席巻して大活躍した8C(写真は1932年モデル)

 110年におよぶ歴史の中でも、とりわけ創業間もない1910年代から30年代にかけての黄金期にはレースでの活躍も目ざましく、ル・マンでの破竹の4連覇などドイツ勢をさしおいて輝かしい戦績を残している。

 かのエンツォ・フェラーリが若かりし頃にドライバーを務め、やがて自身の設立したチームでF1に参戦し、強敵である古巣のアルファロメオを抑えて優勝した際に、「母を殺してしまった」と語ったのも有名な話だ。

 第2次世界大戦後に量産車メーカーへと転身を図って以降も、優美なデザインはもとより、DOHCや4輪ディスクブレーキを惜しみなく与えたり、トランスアクスルや可変バルブタイミングといった高度なメカニズムをいちはやく採用して話題となった。

アルファロメオ史上最も売れたのが156。武骨でボクシーなデザインだった155とは対照的なエアロフォルムを纏って1997年に登場し2005年まで販売

 歴代でもっとも売れたのは、欧州COTYにも選出され、累計67万4000台を販売した「156」で、日本でもブームと呼べるほどよく見かけたことを思い出す。

 ところが、アルファロメオというブランドも好意的に受け取られていたにもかかわらず、あとに続かなかった。

 それはにわかファンが話題にのって買ってみたものの、それほどよいものではないと感じた人が少なくなかったり、あとを受けた「159」や「ブレラ」の重々しい走りに閉口したからだろうか。

 それでも多少の不満こそ聞かれたものの、不思議と本気で悪く言う人がいなかったように思える。彼らの声にもどことなく「愛」が感じられたものだ。

ジウジアーロデザインのエクステリアの評価が高かった159だったが、エンジン、走りがアルファロメオらしい警戒感がなく、イメージダウンの要因となった

新生ジュリア誕生時には世界が注目

 FCA自身も、当時のアルファロメオ車はアルフィスタの期待にちゃんと応えることができていなかったと分析している。

 そして、このままではいけないと一念発起した。クライスラーとジープを完全統合やフェラーリ株の売却により調達した潤沢な資金をもとに、後輪駆動ベースの新規プラットフォームを開発。

2017年に日本で販売を開始したFRスポーツセダンのジュリア。日本での価格は455万~1153万円となっている

 また、これまでFCAの中でマスマーケットに入っていたアルファロメオをプレミアムに格上げし、マセラティの下に位置づけた。

 かくして送り出された新生ジュリアが2017年に日本でローンチされると、販売店に配されデモカーをひと目見ようと、駐車場にBMWやメルセデス、レクサスといったライバル車がズラリと並んだという。

 こんなことは後にも先にもなかったと関係者が述べていたのも印象的だった。

インテリアに定評のあるアルファロメオらしさ全開のジュリアのインテリア。スポーティながら、本革シートのラグジュアリーさも併せ持っている

注目度と販売が比例しない苦悩

 現行ラインナップは、話題作の4Cの2020年内生産終了が報じられたばかりというのは少々残念だが、件のジュリアとSUVのステルヴィオとジュリエッタの3本柱となる。

 いずれもひと目でアルファロメオとわかるスタイリングと妖艶なインテリアを身につけ、ドライブフィールは刺激的でハンドリングが極めて俊敏である点で共通する。

2020年内での生産中止が発表された4C&4Cスパイダー。標準タイプのクーペ、オープンのスパイダーとも価格は865万円で同じ
アルファロメオが初めて手掛けた高級SUVがステルビオ。価格は635万~1189万円。どこから見てもアルファロメオとわかるデザインは◎

 さらに新世代の2モデルには、クラス最強の510psを発生する「クワドリフォリオ」がある点も特筆できる。

 ところが、登場から時間の経過したジュリエッタはさておき、先でも述べたほど注目を集めたジュリアやステルヴィオも、いまのところ販売は伸び悩んでいる。ターゲット層の多くに興味は持ってもらえても、愛車としては選んでもらえなかったということだ。

 実は海外での状況も似ている。欧州はもとより満を持して再上陸した北米市場でも、あまり芳しい成果を上げられずにいるのは否めない。

2013年から日本で販売されている5ドアハッチバックのジュリエッタ。現行ラインナップでは最古参だ。399万円のヴェローチェの1グレード

かつての栄光よ再び

 原因はどこにあるか? それはいまどきのプレミアムカーを求める層が重視する重要な部分である先進安全運転支援装備や快適装備において、少なからず遅れをとっていることがまず挙げられる。

 むろん基本的な機能は備えているが、この価格帯のプレミアムカーはもっと充実していて、そちらに目が向くのはやむをえない。

写真は1961年式の1300ジュニアで、特に段付きの人気は高い。しかし、アルファロメオの旧車はサビとトラブルの闘いとなるため覚悟が必要

 もちろんライバルも進化していくので追いかけるのは大変だと思うが、できるだけ装備面で遅れをとらないことが大事だ。

 あとは根底にあるイタ車への信頼性の問題もあるだろう。

 アルファロメオは輝かしい歴史のいっぽうで、品質面でもとやかくいわれた過去も少なくなく、他のラテン系ブランド同様、それが少なからず尾をひいていることは想像に難くない。

 これを払拭するのは容易ではないが、販売整備網のさらなる整備や手厚い保証も必要かもしれないし、もはやその点に問題がないことを示し続けるほかないだろう。

 他のブランドがうらやむほどのヘリテイジを有し、数々の名車を世に送り出してきた実績もあり、いまでも熱心なファンが大勢いるのだから、やればできないことはないはず。

 ぜひかつての栄光を再び取り戻してくれるよう期待せずにいられない。

アルファロメオは今も昔も走りの楽しさは持っている。しかし現在求められている環境性能、安全性能面での進化が必須となってくる

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