アバルトのイベントは本国以上の盛り上がり
とりわけアバルト595系がここまで人気を獲得するとは予想外だったが、フィアット500自体が幅広く受け入れられたのに加えて、その内外装を特別に仕立てるとともに走りのパフォーマンスを引き上げるなどした、より高い付加価値を身につけたアバルトに目が向けられ、そして評判が評判を呼んでこうなったということだろう。
また、日本ではMTの輸入車が少ないなかで、アバルトのMT比率は実に48%にも及ぶことも特筆できる。
さらに、毎年のように戦略的に日本のマーケットに合った限定車を販売してファンを繋いでいることも功を奏していることに違いない。毎年恒例となっている祭典「アバルトデイ」の盛り上がりは本国以上との評判だ。
アバルトの勢いが削がれないことを切望
そんなアバルトの現行ラインアップは、595が標準モデルと上級仕様の「ツーリズモ」の屋根付きとカブリオレ、走行性能を高めた「コンペティツィオーネ」という計4モデルと、124スパイダーとなっている。
いずれも野太いエキゾーストとパンチの効いた加速が印象的な1.4L、直4ターボを搭載し、モデルの性格にあわせて走りの味付けや装備が差別化されているが、その刺激的なドライブフィールはまさしく「痛快」という表現がピッタリな点では共通する。
595系は車高が高めでホイールベースが短いため安定性は高くないが、挙動が出やすいぶん、それを積極的に自身で操る楽しさがある。
124スパイダーはご存知のとおりマツダ ロードスターと基本骨格を共有するが、走りの味付けは別物で、595系にも通じるエキサイティングなハンドリングが与えられる。
少々気がかりなのは今後のことだ。
595系の好調な状況は当面は続きそうで心配する必要はなさそうだが、次期チンクェチェントはEVとなる。124スパイダーはすでに生産中止となっていて、各販売会社に残っている在庫のみという状況だ。しかもその在庫はかなり少なくなっているようだ。
このようにアバルトにとって期待できそうなFCAの近い将来の情報が聞こえてこない。
せっかく復活をとげて多くのファンを喜ばせ、大躍進しているアバルトの勢いが再び衰えることのないよう、せつに願う次第である。
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