ダウンサイズコンセプトの普及とともにNAエンジンからターボエンジンにスイッチしたモデルは多い。最近では注目の新型スイフトスポーツも、旧型の1.6L、NAエンジンから1.4Lターボエンジンへと鞍替えした。
そこで、もう一度冷静になって振り返ってみよう。ターボ化されて良かったモデルもあるけれど、逆に以前のNAの方がよかったね、というモデルもあるはず。それぞれのトップ3にはどのモデルがランクインする?
文:松田秀士/写真:編集部
旧型NAのほうがいい車 ベスト3
■スカイライン
【旧型:2.5L、V6/新型:2L直4ターボ】
現行型スカイラインのダウンサイジング2Lターボエンジンは、エコで低回転域からトルクが厚い。こちらも環境も含めた性能的にはターボだろう。
しかし、ターボエンジン、しかもダウンサイジングされたエンジンの音質がスカイラインには似合わない。
やはり、マルチシリンダーのV6 2.5L NAのきめ細かなエグゾーストサウンドが上品で、スカイラインの歴史を感じさせる。V6は安っぽくないのだ。
しかも、2.0Lターボエンジンはメルセデス製。自社エンジンではないのだ。動力性能云々よりも、このような嗜好を大事にしなくてはならないものもある。
■ステップワゴン
【旧型:2L、直4/新型:1.5L直4ターボ】
そして、ステップワゴンも2L NAから1.5L VTECターボになった(現存する2Lはハイブリットのみ)。
1.5Lターボに変更した主な理由は、中国などの輸出先の事情を踏まえてのこと。日本も同じだが、排気量によって税制が大きく変わるので、そこをにらんでのエンジン開発となっている。
つまり、純粋にエコを目的のダウンサイジングと言えないところが複雑。ターボ化されることで補器類も増え、しかもステップワゴンのようにキャビンのスペースを最大限拡大する必要のあるミニバンではエンジンルームを小さく設計していて、ターボの熱処理に不安が残る。
ボディブローのように徐々に効いて、経年後のトラブルが心配である。つまり、敢えてターボにする必然性がどれほどだったのか?と考えてしまうのだ。
■ポルシェ911カレラ
【旧型:3.4Lボクサー6/新型:3Lボクサー6ターボ】
象徴的なのはポルシェ911だ。ケイマンやボクスターに関してはのちに挙げるので、ここではRRの911に絞って考えてみたい。
正直、991型になってターボ化された水平対向6気筒エンジンのフィーリングもパワー感も悪くない。いや逆に良いくらいだ。
しかし、911にはもともと911ターボ(997)や911GT2(997)といったターボモデルがある。既存の911でのターボモデルは、やはりハイパワーで申し分がない。だからこそカレラを含むその他の911はNAであってこそ意味があった。
RR独特のリヤヘビーなマシンを、ブレーキングでしっかりと前荷重させて曲げる。その時、NAエンジン特有のアクセルの踏み加減に正比例してトルクが立ち上がる。これによって、コーナリングをコントロールする楽しみがあったのだ。
完成度は、もちろん現行のターボエンジンを搭載する991型911が高い。しかし、車としての楽しみはこれまでのNAエンジンの方が上だ。
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