あえて「クルマ」にこだわるトヨタの宣言と覚悟【東京モーターショー2017開幕】

■クルマは人の「チームメート」になっていく、という発想

 次に焦点となる領域は、自動運転です。「Mobility for All」実現におけるキーテクノロジーでもあります。トヨタでは、「ショーファー(自動運転)」と「ガーディアン(高度安全運転支援)」の両方を開発しています。

 「ショーファー(自動運転)モード」においては、いつか私たちのクルマもすべての運転タスクをこなせるほどに賢くなり、現在は享受できていない人々にも「移動の自由」をもたらすでしょう。

 「ガーディアン(高度安全運転支援)モード」では、人間と機械のスキルを融合することで、運転の自由な感覚を維持しつつ、システムがドライバーの安全を見守ります。

 「ショーファー」も「ガーディアン」も、ドライバーとクルマがお互いに助け合う「チームメート」のような役割を果たすという、トヨタ独自の考え方を反映した安全システムなのです。

 これを「モビリティ・チームメート」と呼んでいます。2020年に高速道路で、2020年代前半には一般道を対象としたシステムとして実用化する予定です。

■電動車(HV、PHV、EV)マーケットで43%のシェアを持つトヨタ

 最後は「電動化」についてです。トヨタは、初の量産「電動車」をちょうど20年前に、この東京のトヨタブースに出展しました。電動車両の「先駆け」となった「プリウス」です。

 私たちのメッセージは明確でした。「電動化はモビリティの未来を変えていく」ということです。電動化の目的は、環境負荷を低減することにあります。

 したがって、真の環境への貢献は、クルマが普及してこそ意味があります。現在、トヨタは既に37の電動車を90か国以上で投入し、年間150万台近く販売しています。グローバルな「電動車マーケット」では、トヨタのシェアは43%にも及びます。

 20年にわたる1100万台以上の電動車の販売実績は、同時に、モーター・インバーター・電子制御ソフトウェア・電池など、それだけの数の電動化コンポーネントを開発し、改良してきたことを意味します。

 次のステップであるEVの開発においても、これらの実績が我々の競争力の源泉となるのです。EVが近い将来において重要なソリューションのひとつとなることは疑う余地がありません。

 だからこそトヨタは、マツダ、デンソーとともに、EV量産化を視野に入れてEVのアーキテクチャーを開発する新会社を立ち上げたのです。

 また、トヨタは次世代電池の研究にも長年取り組んできました。そのなかで、「全固体電池」は、航続距離を飛躍的に改善するポテンシャルから「ゲームチェンジャー」となりうる技術だと考えています。

 トヨタは全固体電池に関する特許出願件数において世界トップです。現在、200名を超える技術者とともに、2020年代前半の実用化を目指して、開発を加速しています。これは、燃料電池車(FCV)への我々の取り組みが後退するという意味ではありません。

 今日ここ日本では、水素社会実現への「トヨタの変わらぬ意志」を象徴するFCV2台をご紹介いたします。「Fine-Comfort Ride」は、広々としたインテリアに加えて、約1000キロもの航続距離を備えるプレミアムFCVの可能性を示しています。

 FCバスコンセプト「SORA」は、東京で既に運行する2台のFCバスがさらに進化したものです。来年を皮切りに、100台を超える「SORA」が順次、東京の都心エリアで運行されることになります。

 2020年の東京オリンピック・パラリンピックは、これらのチャレンジにおける重要なマイルストーンです。(そこを)我々が考える「Mobility for All」の将来をご紹介する機会にしたいと思っています。

 東京大会に向けて、新型「JPN Taxi」が変える東京の街並みもご覧いただけると思います。「JPN Taxi」は、ユニバーサルデザインにより、日本での「おもてなし」をさらに感じていただけるクルマです。

 大会では、Concept-愛iシリーズの一部や自動運転車を皆さんにお見せすることになるでしょう。また、「水素社会」のさらなる進展もご覧いただけるでしょう。

次ページは : ■次回のモーターショーで、そしてオリンピックで

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