あえて「クルマ」にこだわるトヨタの宣言と覚悟【東京モーターショー2017開幕】

■トヨタ自動車取締役副社長 ディディエ・ルロワ氏スピーチ全文

 皆様、おはようございます。

 先ほどビデオをご覧いただいたとおり、「Start Your Impossible」(「不可能と思えることにチャレンジしよう」)が今日のキーワードです。

 トヨタは、「グローバル・ビジョン」のコミットメントに沿って、オリンピック・パラリンピックのパートナーシップをきっかけとしたグローバルな企業としてのチャレンジをスタートいたします。

 そのテーマが「Start Your Impossible」です。本日より、日本でもトヨタの企業としてのタグラインとなるものです。我々にとって、これは言葉以上に大きな意味を持つものであり、「Mobility for All」(「すべての人に移動の自由を」)の実現に向けた決意を表すものです。

 すべての人が参画し、「限界」を打ち破れるような社会づくりに貢献すべくトヨタは、どんなに困難なことにも挑み続けます。

 人それぞれの「限界」もあれば、身体的・社会的に課された「限界」もあるでしょう。私たちはそのために、オリンピックやパラリンピックのアスリートから勇気やファイティングスピリットを学びたいと考えています。アスリートは、母国の希望や想いを背負い、日々それぞれの困難を乗り越え続けているからです。

 社長の豊田は、将来のモビリティ社会を切り拓くのは、「もっといい社会をつくりたい」という情熱で他者に勝る者、と申し上げています。

 1937年、豊田喜一郎は当時の日本に自動車を普及させることが、国の発展に欠かせないと考えました。多くの人に「不可能だ!」と言われながら、彼は仲間とともに最初の一歩を踏み出しました。

 自動車業界がかつてないスピードで変化する今、私たちは新たな転換期を迎えています。トヨタは、この変化は自らを変革する「チャンス」と捉えています。ただ、我々がヒューマンサポートロボットやカーシェアサービスのような新しい領域に進もうとしているなかでも、クルマには特別な何かがあります。

 どんな形であってもモビリティが実現すべき価値……それは「自由」です。私たちが自由に移動できるとき、どんなことも可能になるのですから。

 それこそが、クルマが楽しく、人々が単なる機械としてではなく、愛する対象としてクルマを見る理由だと思っています。

■クルマへの愛は、時間とともに色あせるものではない

 今日お披露目する「GR Hybrid Sports」そして「Tj Cruiser」は、「楽しくなければクルマじゃない」という我々の想いを体現しています。

 また、「新型センチュリー」のような歴史的なクルマであっても50年間で2度目のフルモデルチェンジでお客様の心をワクワクさせるのです。クルマへの愛は、時間とともに色あせるものではないのです。同時に、我々の「モビリティ」への情熱はクルマに留まりません。

 我々が提供する価値は、街中や家庭で、世界中の人々の移動をより助け、もっと便利にするテクノロジーへと拡がってきているのです。

 カギとなる技術領域のひとつは、「人工知能」と「コネクティッドカー」です。この「Concept-愛i」は、単なるデザインコンセプトでも、単なるクルマでもありません。人工知能やコネクティッド技術によって、私たちの「パートナー」となる存在なのです。

 ドライバーの心境を読み取り、事故のリスク要因を解消するために運転に集中させてくれます。ドライバーが何を好むか、どのような情報が欲しいかを理解し、ドライバーとの間に新しい関係を築きます。

 「Concept-愛i」はひとつではありません。私の前にある「愛i-Walk」は、クルマが通行できないところにも移動の自由をもたらします。

 そして、「愛i-Ride」は、車いすを利用する方々も使いやすい機構を備えることで、パーソナルモビリティへのバリアフリーアクセスを実現します。

 すべての「愛iシリーズ」に「Yui」と名付けた共通のAIエージェントを搭載することで、乗り換えても瞬時にドライバーとの密な関係が継続されるのです。

 人工知能により新たな価値をご提供するためには、コネクティッド技術とビッグデータが不可欠です。私の左側にあるコンセプトをベースにした「新型クラウン」が、2018年には、日本のコネクティッドカーの新しい「基準」となるのは、それが理由なのです。

 「クラウン」に続き、2020年までには日米でほぼ全ての乗用車に「データ・コミュニケーション・モジュール(DCM)」を搭載し、クラウド上にあるトヨタの「モビリティ・サービス・プラットフォーム」につなげていきます。

次ページは : ■クルマは人の「チームメート」になっていく、という発想

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