スワップボディにドーリ分離型? なんだかスゴいことになっている次代のエース!
トラックドライバー不足が深刻化する中、解決の大きな一手と目される「トラック隊列走行」の実用化が近づいている。トラックメーカー4社は、来年2021年を目処に、まずは「後続車有人」での実用化を見込んでおり、同時に次のステップとなる「後続車無人」の技術開発も行なっているところだ。
いっぽう、同じトラックドライバー不足を解決するための取り組みで、すでに実用化が始まっているものもある。
その代表格が「ダブル連結トラック」だ。フルトレーラの連結全長を従来の21mから最大で25mまで伸ばしたもので、大型トラック約2台分の輸送力を持っていることからこのような名前で呼ばれている。
ダブル連結トラックは、昨年1月に実用化が始まり、同年8月には対象路線が東北〜九州まで拡大。参入ユーザーとともに台数も増えており、今後の展開が注目されている。
文、写真/フルロード編集部
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■ダブル連結トラック・コンセプトとは!? コロナでお蔵入りはもったいないと発表会を設定!
今回は、大手トレーラメーカー・日本トレクスが発表した新機軸の「ダブル連結トラック・コンセプト」を紹介しよう。
ちなみに今回紹介するコンセプトモデル、実は今年5月に開催予定だった「ジャパントラックショー2020」に参考出品される予定だったもの。新型コロナの影響でショーは中止となったが、「このままお蔵入りさせてしまうのはもったいない!」ということで発表会が設定された。
編成としては、ウイングボディ車とスワップボディ車の機能を併せ持つ「スワップウイングフルトラクタ」に、「ドーリ分離型冷凍冷蔵フルトレーラ」を組み合わせたもので、連結全長は24.5mとなっている。
牽引車のフルトラクタは、8×4駆動の低床4軸シャシーの後端部に連結装置を取り付けたもので、スワップボディ車のキャリア(スワップボディ車ではシャシーをキャリア、ボディをコンテナと呼ぶ)としての機能も併せ持っているのが最大の特徴。
スワップボディ車とダブル連結トラックの組み合わせは国内初という。
スワップボディ車とは、荷台(ボディ)を自由に載せ替え(スワップ)できるトラックのこと。輸送業務と荷役業務を分離し、トラックドライバーの負担が軽減できることから、いま注目を集めている。
例えば、荷役専門スタッフが事前に積み込みを行なう「先積み」は、ドライバーが本来の輸送業務に専念でき、運行効率も上げることができる。また、中間地点でボディを交換してUターンする「スイッチ輸送」は、キャビンで宿泊するはずの中〜長距離ドライバーの日帰り運行が可能となる。
■2つの機能を合体! 用途によって組み換えるコンセプトはまるで巨大ロボットだ!?
日本トレクスはダブル連結トラックとともに、このスワップボディ車の開発にも力を入れているメーカーで、今回は同社が得意な2つのトラックの機能を合体させたというわけ。
ボディは側方荷役のドライウイングボディ仕様で、単体で荷役作業を行なうのが前提のため、自力でウイングの開閉ができるようボディに専用のバッテリーを搭載。ランディングギア(支持脚)は手動式だが、アシスト用のガスダンパーが備わる。
いっぽう、被牽引車のフルトレーラは「ドーリ分離型」と呼ばれるもの。ボディは後方荷役の冷凍冷蔵バン仕様で、前側に荷箱内を冷やすためのノーズマウントタイプの冷凍機を搭載。後ろ側には積み荷の昇降に用いる格納式テールゲートリフターも備わる。
ドーリ分離型フルトレーラは、セミトレーラにドーリを組み合わせたもので、ドーリを分離すれば一般的なセミトレーラとして運用することができるのが特徴。
例えば長距離の拠点間輸送をフルトレーラで行ない、拠点から末端への輸送はフルトラクタとセミトレーラで別々に行なう……、という一台二役の運用も可能だ。
■これからの新型車には将来を見据えた見直しが必要か!? トラックの明るい未来にワクワクが止まらない!
なお、今回発表されたコンセプトモデルは、ダブル連結トラックの構造要件を満たしていないため現時点では連結状態で公道を走ることができない。
具体的には、ダブル連結トラックの構造要件が「バン型」のみとされているのに対して、同車はフルトラクタが「コンテナ専用車(スワップボディ車)」、フルトレーラが「冷凍冷蔵バン」となっているため、連結全長21m以上での登録が不可能なのだ。
とはいえ、ダブル連結トラック用サラウンドビューモニターに代表される現在開発中の装備が多数搭載された同車は見どころ満載で、ダブル連結トラックの未来を考えさせられる興味深い一台といえるだろう。
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