■旧型中古で選ぶクセ強グルマ
(TEXT/伊達軍曹)
ちょっと前までの中古車なら、特に「他人のことなど知らん! 俺は俺の生きたいように生きるぜ!」と考えている欧州人が作ったクルマであれば、クセ強系の(それでいてナイスな)クルマは簡単に見つけることができる。
例えばイタリアのフィアットが2000年代に販売していた2列×3人がけシートのMPVであるムルティプラ。
前期型の深海魚のようなフェイスは、さかなクンならずとも「ギョギョッ?」という感じで、初代BMW6シリーズが世界一美しいクーペであるならば、こちらは「世界一醜いクルマ」。
しかしその走りは超一級品で、上手い人が乗れば、下手クソが乗るスポーツカーをコーナーでぶっちぎることも普通に可能だ。
中身は素晴らしいのに顔のクセが妙に強いといえば、フランスはシトロエンのアッパーミドルである初代C5も忘れてはいけない。
これの次に登場した最終型C5は立派なイケメンになったのだが、初代はなぜか謎の東南アジア系フェイス。フランス人の高度すぎる(?)デザインセンスに世界が困惑した。
しかし、これまた乗ってみれば本当に素晴らしいセダンで、東南アジアフェイスと実力との落差はあまりにも味わい深い。
「……もう少しカッコいいクセ強中古車はないのか?」とのクレームも来そうなので、カッコいいやつをご紹介しよう。先代メルセデスベンツCクラスのAMGモデルであるC63 AMGだ。
昨今はAMGですらダウンサイジングターボを積極的に採用しているが、この時代のC63 AMGは怒涛の自然吸気6.2L V8。最高出力は457psで、ブレーキは強力だが、その気になればいつでも死ねるくらい猛烈に速い。
ただし税金も猛烈で、自動車税は年額11万円。このクセの強い(?)自動車税に耐える自信があるならば、ぜひとも入手したい名車だ。
逆に「エンジンと車体が小さすぎ!」というのがフィアット500だろうか。
現在売られているアレではなく、1950年代から1970年代にかけて「NUOVA500」として販売された、ルパン三世の劇中車としても知られるアレである。
エンジンは0.5Lの直2OHVと石器時代のようにシンプルで、全長はわずか2970mm。これに乗ればすべてが“非日常”へと変化するだろう。
国産の中古車でクセが強いといえば、やはりスズキX-90だろうか。
SUVなのに2シーター、都会派志向のクロスオーバー車なのにラダーフレームという、すべてが謎な、大変に素晴らしいクセ強名車(迷車)であった。
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