スズキが初のホンダ越え! 国内2位躍進の裏に“軽だけじゃない”小型車作りの功

ホンダの苦戦もスズキ2位奪取の一因に

2000年に登録車4位の12万3912台を販売した2代目オデッセイ。このほかステップワゴンやアコードなど当時のホンダは登録車のバラエティが豊富で、売れ筋のモデルも多かった
2000年に登録車4位の12万3912台を販売した2代目オデッセイ。このほかステップワゴンやアコードなど当時のホンダは登録車のバラエティが豊富で、売れ筋のモデルも多かった

 スズキが小型/普通車の開発と販売に力を入れる背景には、軽自動車規格の不安がある。

 2015年4月以降の届け出では、軽自動車税が従来の年額7200円から1万800円に引き上げられた。軽自動車が今後も好調な売れ行きを保てるとは限らず、スズキは小型/普通車を年間10万台以上登録する目標を立てて早々にクリアした。

 スズキが国内販売の2位になった背景には、ホンダの低迷もある。2000年にホンダは国内で75万4827台を販売したが、2020年は61万9132台だ。スズキが3%増えたのに対して、ホンダは18%減少して明暗を分けた。

 そして、スズキが小型/普通車を増やして国内販売全体を押し上げたのに対して、ホンダは小型/普通車の減少が大きい。ホンダの登録台数は、2000年は45万5609台だったが、2020年は29万3800台だ。小型/普通車は20年間で36%減った。

2020年も年間販売台数日本一に輝いたN-BOX。これが象徴するように20年でホンダの軽比率は大幅に向上した
2020年も年間販売台数日本一に輝いたN-BOX。これが象徴するように20年でホンダの軽比率は大幅に向上した

 その代わり軽自動車は、2000年は29万9218台であったが、2020年は32万5332台に増えた。ただし9%の増加だから、小型/普通車と差し引きすれば、総台数は前述の通り18%の減少になる。

 ホンダでは販売総数が減ったうえに、軽自動車の比率が2000年の40%から2020年には53%に増えた。国内販売総数が減り、なおかつ売れ筋車種の低価格化まで進んだ。

 以上のようにスズキが2位、ホンダが3位という国内販売順位の変化は、両社の置かれた状況を象徴している。2020年におけるスズキとホンダの販売台数の違いは1万1710台、1か月当たり976台の僅差だが、意味するところは大きい。

登録車では日産が3位転落でホンダが2位に再浮上

2020年12月に登場した新型ノート。同車は7年ぶりのフルモデルチェンジであり、今年は新型アリアなども発売を控える。2020年はこうした攻勢の前段階で伸び悩んだが、今年は巻き返しの1年となりそうだ
2020年12月に登場した新型ノート。同車は7年ぶりのフルモデルチェンジであり、今年は新型アリアなども発売を控える。2020年はこうした攻勢の前段階で伸び悩んだが、今年は巻き返しの1年となりそうだ

 そして、もうひとつ興味深いのは、小型/普通車の販売ランキングだ。1位はトヨタだが、2位にホンダが入り、日産は3位まで下がった。2014年と2015年を除くと、近年の小型/普通車では日産が2位だったが、2020年は3位だ。ホンダは小型/普通車の売れ行きを下げたが、日産はさらに下まわった。

 日産の小型/普通車が減った背景には、2つの理由がある。

ひとつはノートが2020年末のフルモデルチェンジを控えて売れ行きを落とし、コロナ禍の影響もあって、2019年に比べると39%減ったことだ。セレナも26%減少している。

 2つ目の理由は、2020年にルークスがフルモデルチェンジを行って売れ行きを伸ばしたこと。日産の軽自動車販売は、コロナ禍の影響を受けながらも、2019年に比べて1%増えている。その結果、2020年に国内で販売された日産車のうち、43%を軽自動車が占めた。

 つまり、日産の小型/普通車は主力車種が落ち込み、なおかつ軽自動車が伸びて、ますます顧客を奪われた。そのために日産の小型/普通車は、2019年に比べて28%減少り、売れ行きが低迷するホンダの小型/普通車をも下まわった。

 国内販売の2位をスズキに奪われたホンダと、小型/普通車の2位をそのホンダに取られた日産。

 この両社に共通するのは、軽自動車への依存度を高めたことだ。ホンダは53%、日産も43%を占めて、軽自動車販売はもはや飽和状態に陥っている。その結果、小型/普通車のマイナスを招く悪影響が際立ってきた。

 この隙間を突き、スズキは小型/普通車の上乗せで2位に這い上がった。クルマの売れ行きを保つには、各カテゴリーのバランス良い売り方が大切なことを改めて実感させる。2021年のホンダと日産は、小型/普通車に力を入れるべきだ。

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