愛され続けて55年 日本車の象徴であり続けるカローラの軌跡と真の実力

FFモデルへの大転換、カローラの新たな歴史を紡ぐ

豊田社長の初のマイカーもカローラだった! 愛され続けて55年、トヨタがカローラを溺愛する理由
2駆動方式を一新して登場した5代目。通常の4ドアに加えてワゴン的スタイルの5ドア「リフトバック」もラインナップ。AE86はこの5代目の派生モデルだ

 1983年はカローラシリーズにとって重要な年となる。カローラの駆動方式は、初代モデルよりフロントにエンジンを搭載し、リアタイヤを駆動するFRスタイルだった。だがこの時代になると、スペース効率に優れ、コストも抑えることができるFFが一気に世界の主流となり、それに合わせてカローラも5代目モデルでついにFF方式を採用。カローラというクルマの位置付けを考えるとこの変更は必須であったが、トヨタはスポーティモデルのレビン&トレノをFR車で残し、歴史的な名車「ハチロク」を誕生させた。

 5代目以降のカローラはすべてFF車で、レビン&トレノもハチロクの後継モデルではFFに変更された。そして日本は未曾有のバブル景気を迎えることになり、カローラもまた高級路線へと舵を切ることとなる。

バブル景気に咲いた6&7代目カローラ

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バブル景気にのって高級化されたカローラの第1弾がこの6代目。外観だけでなく内装も豪華になり、ワンクラス上のクオリティを誇っていた

 1987年リリースの6代目カローラのテーマは「クラスを超えた世界のハイクオリティセダン」。外観、内容ともにそれまでのシリーズより高級化されるなど、顧客満足度が高められた6代目は、1990年に国内30万台以上のセールスを記録している。

 1991年には、より高級路線を追求した7代目が登場する。そのスタイルは最上級モデルのセルシオが意識され、「ミニセルシオ」と呼ばれることさえあった。しかし、7代目登場とほぼ時を同じくして国内のバブル景気は崩壊を迎え、カローラも再び方向転換を迫られることになる。

原点回帰と派生モデルの増加

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多くのコンポーネンツが先代から流用されたものの、各部の改良によって50kgの軽量化を実現した8代目は、効率に優れたハイメカツインカムエンジンを搭載

 8代目カローラはシンプルなコンパクトセダンとなって1995年に登場。さらにレビン&トレノやワゴン、バンに加えてミニバンのスパシオと4ドアセダンのセレスも発売されるなど、バリエーション展開が精力的に進められた。

 ミレニアムイヤーの2000年に誕生した9代目モデルはデザインを一新し、ボディ幅は5ナンバーサイズの限界まで広げられた。横滑り防止機構のVSCやトラクションコントロール(TRC)も装備され、安全性もアップ。新たなカローラを印象づけた。

 10代目モデルも9代目のコンセプトが継承されたものの、海外仕様とは異なる国内専用設計を採用。アクシオのサブネームも追加されている。この10代目から全グレードにバックモニターが標準装備となったのがトピックで、実用性を最重視するカローラの面目躍如といったところ。

初のダウンサイジングでよりカローラらしく、しかし……

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10代目に比べて全長が50mm短縮された11代目。テーマは「大人4人が、安心・安全、快適に長距離を移動できるミニマムサイズのクルマ」だった

 11代目カローラの販売開始は2012年。それまで拡大を続けていたカローラのボディサイズが、この11代目で初めて縮小された。コンパクトで取り回しが容易になった車体はカローラのイメージそのもの。この11代目からハイブリッドモデルがラインナップに加わっている。

 先代でコンパクト化されたにもかかわらず、2019年登場の12代目カローラは史上初の3ナンバーモデルとして設計された。名称も4ドアセダンはシンプルな「カローラ」、ワゴンは「カローラツーリング」に改められ、シリーズのリニューアルを強調している。

 3ナンバー化によってサスペンション設計などに余裕ができ、乗り心地は向上。スマートフォンとの連携も可能となるなど、新世代の大衆車としての機能が高められた。

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