FFモデルへの大転換、カローラの新たな歴史を紡ぐ
1983年はカローラシリーズにとって重要な年となる。カローラの駆動方式は、初代モデルよりフロントにエンジンを搭載し、リアタイヤを駆動するFRスタイルだった。だがこの時代になると、スペース効率に優れ、コストも抑えることができるFFが一気に世界の主流となり、それに合わせてカローラも5代目モデルでついにFF方式を採用。カローラというクルマの位置付けを考えるとこの変更は必須であったが、トヨタはスポーティモデルのレビン&トレノをFR車で残し、歴史的な名車「ハチロク」を誕生させた。
5代目以降のカローラはすべてFF車で、レビン&トレノもハチロクの後継モデルではFFに変更された。そして日本は未曾有のバブル景気を迎えることになり、カローラもまた高級路線へと舵を切ることとなる。
バブル景気に咲いた6&7代目カローラ
1987年リリースの6代目カローラのテーマは「クラスを超えた世界のハイクオリティセダン」。外観、内容ともにそれまでのシリーズより高級化されるなど、顧客満足度が高められた6代目は、1990年に国内30万台以上のセールスを記録している。
1991年には、より高級路線を追求した7代目が登場する。そのスタイルは最上級モデルのセルシオが意識され、「ミニセルシオ」と呼ばれることさえあった。しかし、7代目登場とほぼ時を同じくして国内のバブル景気は崩壊を迎え、カローラも再び方向転換を迫られることになる。
原点回帰と派生モデルの増加
8代目カローラはシンプルなコンパクトセダンとなって1995年に登場。さらにレビン&トレノやワゴン、バンに加えてミニバンのスパシオと4ドアセダンのセレスも発売されるなど、バリエーション展開が精力的に進められた。
ミレニアムイヤーの2000年に誕生した9代目モデルはデザインを一新し、ボディ幅は5ナンバーサイズの限界まで広げられた。横滑り防止機構のVSCやトラクションコントロール(TRC)も装備され、安全性もアップ。新たなカローラを印象づけた。
10代目モデルも9代目のコンセプトが継承されたものの、海外仕様とは異なる国内専用設計を採用。アクシオのサブネームも追加されている。この10代目から全グレードにバックモニターが標準装備となったのがトピックで、実用性を最重視するカローラの面目躍如といったところ。
初のダウンサイジングでよりカローラらしく、しかし……
11代目カローラの販売開始は2012年。それまで拡大を続けていたカローラのボディサイズが、この11代目で初めて縮小された。コンパクトで取り回しが容易になった車体はカローラのイメージそのもの。この11代目からハイブリッドモデルがラインナップに加わっている。
先代でコンパクト化されたにもかかわらず、2019年登場の12代目カローラは史上初の3ナンバーモデルとして設計された。名称も4ドアセダンはシンプルな「カローラ」、ワゴンは「カローラツーリング」に改められ、シリーズのリニューアルを強調している。
3ナンバー化によってサスペンション設計などに余裕ができ、乗り心地は向上。スマートフォンとの連携も可能となるなど、新世代の大衆車としての機能が高められた。
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