乗船予定のクルーズ船は出港済み!
埠頭のシンフォニーのりばでは、船が待っているはずだったのだが首都高速や明治神宮周辺の交通渋滞で遅れに遅れた「はとバス御一行様」は定期運航のクルーズ船に乗り遅れてしまった。取り残された形の新成人は、岸壁で集合写真を撮影したり、報道関係者の取材に応じたりして過ごした。
この後、ランチクルーズから戻ってきた定期船に乗船するとのことで、成人式の式典はしばらく待機の後に、当初の予定通り船内で行うことができた。
傍らで見ていた同乗してきた先輩ガイドは「これから経験を積んで立派な一人前のガイドになってくれると信じています。ガイドとしてはまだまだですが、今は彼女たちに期待しかないですね」とほほ笑み、これから本格的にはばたく後輩ガイドたちに静かなエールを送っていた。
現代人らしくうれしかったことは「反応」?
さて、彼女たちはガイドさんではあるが、コロナの影響ではとバスも運休をしているコースが多くあった中で、残念ながらガイド職だけをしているわけではない。現在ははとバスに所属したままで、他社に出向という形で接客業等の別の職種で頑張っている。
ガイドの経験としてはまだ数回しか乗務したことがない彼女たちに、その少ない経験の中で何がうれしかったのかと聞いてみると、「やはりお客様が反応をしてくださったときですかね」と現代人らしいSNS的な回答だった。
具体的に「反応」の内容を聞いてみると「降車されるときにありがとうと言っていただくのはもちろんですが、見どころを通過し説明した際に反応が強いときはうれしくなりました。あ、反応の中身ですか? たとえば歓声とか拍手とか、やはり見どころですからストレートな反応がうれしかったです」と、どこまでも「反応」が大事な若い彼女たちだった。
少ない乗務の中での見どころを教えて?
彼女たちの少ない乗務経験の中でという条件付きだが、見どころを教えてもらうと、異口同音後ろを指差して、「レインボーブリッジ」だと答えてくれた。特にオープントップバスでのレインボーブリッジ通過は、最高に気持ちが良いという。
過去に経験のないコロナの中での模索
ガイド9名、整備士1名の計10名が成人を迎えたわけだが、彼女らの入社してから今日までの道のりは大変だった。2020年3月に入社し、接遇研修や研修車両での車上訓練がスタート。
しかし緊急事態宣言の発令で1年間の休業が決まり、研修が再開されたのは2021年4月だった。数名は初乗務に挑んだのだが、その後すぐに全便運休で休業。
バスファンであれば記憶に新しいワクチン大規模接種会場へピストン輸送するシャトルバスの現地係員の業務を行い、7月になりバスガイドとしてようやく全員が平均約6回の乗務を担当した。
当面の出向期間は2022年3月までなので、その後は彼女たちが乗務する「はとバス」に乗車することができるかもしれない。なお整備士は例年通りの研修と業務を行って腕を磨いているので、バスの状態は万全だ。
これから成人年齢が18歳になるけど?
2022年4月より法律の改正で成人年齢が18歳に引き下げられるが、同社によると現時点で以降の成人式をどのように取り扱うかについては未定とのことだ。
2022年に成人を迎える人の生まれ年は2001年または2002年(平成13・14年)だ。昭和生まれの記者としては2000年代の世代が成人を迎えるというのは誠にエポックで衝撃的な事実だ。
時代の流れというものはそういうことなのかと感じながらこれからのはとバスを背負う新成人の未来に、そして全国で数は少なくなってしまったが定期観光バスに幸多かれと願わずにはいられない「第61回はとバス成人式」だった。。
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