助手席側のセンターピラー(柱)がないため、助手席ドアと後席スライドドアを開けると、開放感抜群のセンターピラーレスドア。
2018年7月13日に発売されたN-VANは、N-BOXには採用されなかったセンターピラーレスドアが採用されたことによって、抜群の使い勝手で大ヒット確実な状況だ。
しかし、このセンターピラーレスドアは、超便利なのにもかかわらず、現行車ではダイハツタントとこのN-VANの2車種のみで、N-BOXやスペーシア(先代のパレットも)、ムーヴ、ワゴンRなども採用していない。
ではなぜ、このセンターピラーレスドア車は、なかなか広がらないのか? 何か問題があるのか? 渡辺陽一郎氏が解説します。
文/渡辺陽一郎
写真/編集部
■N-BOXでは採用されなかったのに、N-VANではなぜ採用されたのか?
2018年7月13日に発売された新型軽商用バンのホンダN-VANは、左側のセンターピラー(天井を支えるボディ中央の柱)を前後のドアに内蔵させた。そのために両方のドアを開くと、開口幅が1580mmとワイドに広がる。
またN-VANでは、後席に加えて助手席も床面へ落とし込むように小さく格納できる。左側のセンターピラーレス構造と、助手席の格納機能がN-VANの特徴だ。
N-VANの開発者は「助手席の格納機能がないクルマに、センターピラーレス構造のドアを採用しても意味がない」という。
ダイハツタントや生産を終えたトヨタアイシスは、センターピラーレス構造ではあるが、助手席の格納機能は備えていない。N-VAN開発者の考えでは「意味がない」センターピラーレス構造になってしまう。
■助手席の格納機能がないと、センターピラーレス構造を採用しても意味はない!
なぜ助手席の格納機能がないと、センターピラーレス構造を採用しても意味がないのか、N-VANの開発者に尋ねた。
「センターピラーレス構造でも、助手席が普通に装着されていたら、乗降性や荷物の積載性を大幅に向上させることはできない(助手席の背もたれの位置が、センターピラーとほぼ重なるからだ)。助手席の位置を一番前側までスライドさせると、後席側の間口が多少は広がるが、センターピラーレス構造を選ぶ決め手にはならない」とコメント。
確かにセンターピラーと、前席の背もたれは、ほぼ同じところに位置する。そのために前席用のシートベルトは、センターピラーから引き出す構造になっている。仮にセンターピラーを取り去っても、そこに助手席があれば、間口の広さや乗降性は、ピラーの付いたクルマとあまり変わらない。
ただしこれは、ユーザーの受け取り方の違いでもあるだろう。N-VANの開発者もコメントしたが、センターピラーレス構造なら、助手席を前側にスライドさせることで、後席側の間口をある程度は広げて乗降性を向上できる。
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