なんで協定を結ぶの?? 西鉄グループと北九州市がタッグを組む目的とは?


 西日本鉄道と北九州市は2022年5月16 日(月)に包括連携協定を締結した。西鉄は自動運転バスの実証実験を行うなど運行の効率化をこれまで行ってきた。一方で北九州市では人口減少と少子高齢化に直面しており、社会問題解決に向けて計画を立てている。今回の協定を結んだことでどのような目的があるのか? 解説していく。

文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)

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西鉄と北九州市が連携協定

 北九州市では人口減少や少子高齢化など「将来の日本の大都市が抱える課題」に一足早く直面しており、このような社会課題を解決していくため「北九州市 SDGs未来都市計画」を策定し推進している。

 一方で、西鉄ではこれまでも北九州市における公共交通維持に向けた取り組みとして、自動運転バスの実証実験や、連節バスの導入による運行効率化などさまざまな取り組みを実施してきた。またSDGsに関する課題の解決に向けた取り組みとして、2022年6月にはレトロフィット電気バスを導入する予定だ。

 今後は本計画の達成に向けて、公共交通に関する連携をはじめ、脱炭素および資源循環に関する事項や、観光振興、防災、こどもの健全育成に関することなど、さまざまな分野での連携を行うとのこと。

北九州市SDGs未来都市計画

 両者では、今後も北九州市が掲げる 2030年の北九州市のあるべき姿~「真の豊かさ」にあふれ、世界に貢献し、信頼される「グリーン成長都市」~の達成に向け、連携を強化しSDGsに関する課題の解決とまちづくりに資する取り組みを推進するという。

具体策は特に示されていない

 発表されt報道リリースには特に具体的に何をするのかについては言及されておらず、市民に対して目に見える活動になるのかは不透明。ただし取り組みとして例示されているレトロフィット電気バスのお披露目式が予定されているようだ。

 また観光振興策として西鉄イン小倉と黒崎での協定締結を記念した特別プランの発売(5/17~10/31)、北九州市観光振興プランの策定に向けた意見交換の実施が発表されている。またこども食堂支援としてスピナや西鉄ストアなどの店舗における寄付型自動販売機の設置が盛り込まれている。

北九州市の歴史

 北九州市は五市合併でできた政令指定都市だ。製鉄所を核に燃料を支える炭鉱、それを輸送する鉄道網、工場労働者通勤のための路面電車やバス路線が非常に発達した都市だった。

 意外に思うかもしれにが、政令指定都市になったのは福岡市よりも先で、飛ぶ鳥落とす勢いの日本の四大工業地帯のひとつを担う大都市だった。それだけ多くの工場労働者を抱えるため、歓楽街や商業地も発展し国鉄の鉄道管理局も北九州市にあった。そもそも西鉄の発祥は北九州市だ。

時代とともに衰退

 鉄冷えと呼ばれた不況に伴う工業地帯の縮小や移転で、人口流出もとまらず徐々に衰退することになった北九州市だが、国鉄がJRになると本社は福岡市へ移転し、西鉄北九州線(路面電車)と支線は廃止された。北方線だけはモノレールが代替したので形を変えて生き残ったが、それ以上浮揚することはなかった。

門司港の美しい港町

 北九州市の交通は昔はパイ(π)型交通と呼ばれ、小倉と黒崎を結ぶ鹿児島本線を軸として、小倉から南に延びるモノレール、そして黒崎から南に延びる「つもりだった」モノレール、うまくすれば小倉と黒崎もモノレールで結びたいという思惑もあったようだが、もろくも崩れた。

 新北九州空港が開港し、新幹線の全列車が小倉に停車しているのが救いだろうか。

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