■トルクはアテンザ、パワーはBMW320d
いっぽうのアテンザも、ブランド云々よりも評判のよいマツダのディーゼルにぜひ乗りたい! と思っている人が、それはそれで大勢いる。
なにせマツダのフラッグシップだ。ボディサイズもアテンザのほうがだいぶ大きめ。
といってもどのくらい説得力があるかどうかはビミョーながら、プレミアムブランドのエントリーセダンもよいが、近年ブランドイメージの急上昇したマツダのフラッグシップに乗るほうが気分がいいという人も少なくないことだろう。
さて、ディーゼルに乗りたいという多くの人にとって、その主な理由というのは、経済性とトルクフルな走りのふたつに違いないはず。
各車の燃費の公表値については、従来型のアテンザの2WDが19.6~22.4km/L、4WDが18.2~20.4km/L、320dの現行型が21.4km/L、C220dのマイナーチェンジ前が20.3km/Lと、若干の差はあるが拮抗しているといえる範囲かなと。
では走りのほうはどうかというと、スペックとしては、アテンザの従来モデルは最高出力175ps/4500rpm、最大トルク420Nm(42.8kgm)/2000rpm。
現行BMW320dは最高出力190ps/4000rpm、最大トルク400Nm(40.8kgm)/1750-2500rpm。
マイナーチェンジ前のC220dは最大出力170ps/3000-4200rpm、最大トルク400Nm(40.8kgm)/1400-2800rpmとなっており、排気量ではもっとも小さいものの最新のエンジンを積む320dがもっとも高出力だ。
ところで、ドイツ勢は後輪駆動のみ、アテンザは前輪駆動もしくは4WDという違いがあることもお忘れなく。4WDにこだわるならアテンザ以外の選択肢はない。
また、先進安全運転支援システムの機能をはじめ装備にも大なり小なり違いはあるわけだが、そこはCクラスが一歩リードという印象だ。
この中で2018年秋現在、どれを選ぶのがもっとも賢明か? ここまで読んで答えがすでに出た人も少なくないだろうが、実際のドライブフィールをお伝えしておこう。
■ドライバビリティを考えると320dが優位!?
マツダのスカイアクティブDは驚くほどの低圧縮比を実現し、尿素水等を使うことなく優れた走りを実現したところがたいしたもの。
それは中古車で狙う改良前の従来モデルでも同じ。ただし、最高出力190ps/4500rpm、最大トルク450Nm(45.9kgm)/2000rpmになった最新モデルを知ってしまうと、見劣りするのは否めないというのが正直なところ。
それぐらい改良後の最新モデルはよくできているとご理解いただきたい。むろん従来モデルでも、スカイアクティブDのよさはそれなりに味わえるのでビミョーなところ。
どうしてもひっかかる人は、思い切って最新モデルの新車を買うか、中古車が出てくるのを待ったほうがよい、と思うほどだ。
いっぽう、Cクラスはマイナーチェンジ後のモデルには未試乗なのだが、これまた大幅に進化していることは間違いない。
エンジンも新しくなることだし、Eクラスで最新の2リッターディーゼルを味わった印象からすると、これまた差は小さくない。
ディーゼルらしい力感はあるが、ディーゼル特有の音や振動もまたけっこう大きめで、あまり洗練度は高くない。
そんな2台に対し、320dは現役のエンジンが搭載されているのが強み。このパワートレインも、低回転域でわずかにディーゼルを感じさせるが、そこを過ぎるとガソリンと遜色ないほど低振動で静粛性が高い。
そして何より低回転から力強いトルクを、レスポンスよくリニアに生み出すエンジンフィールが素晴らしい。
モデル末期につき、そう遠くないうちに現役モデルでなくなってしまうことを許せるなら(どうせ中古車はそういうものだし……)、この中では本記事掲載時点におけるベストチョイスは320dではないかと思う。
【各車(2WDモデル)主要諸元】
[アテンザ XD L パッケージ 2017年モデル]
・サイズ(全長×全幅×全高mm)=4865×1840×1450
・車重:1540kg
・新車時価格:377万5000円
[BMW320d 2017年モデル]
・サイズ(全長×全幅×全高mm)=4645x1800x1440
・車重:1570kg
・新車時価格:532万円
[ベンツC220d 2016年モデル]
・サイズ(全長×全幅×全高mm)=4690x1810x1440
・車重:1650kg
・新車時価格:559万円
コメント
コメントの使い方