実は逆効果! そうだったんだ! クルマ関連よくありがちなNG行為とは

■逆効果2/長期間オイル交換していないエンジンだからとフラッシングする行為

エンジンオイルを交換せず放置すると取り返しのつかない性能低下を起こすので、定期的な点検と劣化時の交換はしっかり行いたい(jozefklopacka@Adobe Stock)
エンジンオイルを交換せず放置すると取り返しのつかない性能低下を起こすので、定期的な点検と劣化時の交換はしっかり行いたい(jozefklopacka@Adobe Stock)

 エンジンオイル交換時のフラッシングも、気を付けなくてはいけない作業だ。オイル交換時のフィルター交換と同時に毎回というように、フラッシングオイルによる洗浄を継続的に行なっているのならあまり問題ない。

 しかし、今までほとんどフラッシングしたことがなくオイル交換もサボりがちで、エンジン内部が汚れ切っている状態でいきなり内部を洗浄、それも限られた量の洗浄剤を入れただけでエンジンを回して洗浄するのはリスクが高い。

 エンジン内部に堆積したスラッジが塊のまま剥がれ落ちて油圧経路に入り込んでしまうと、潤滑不良や油圧低下によるトラブルを起こす可能性があるのだ。

 専用機器でエンジン内部や燃料系統を洗浄してくれるサービスもあるが、あれは洗浄剤を循環させてろ過しながら行なうのでエンジン単体でフラッシングを行うより効果が高く安全。それでもリスクはゼロではないから、定期的に行なっている車両ではない場合は気を付けたい。

 そもそもエンジンオイルの交換サイクルは自動車メーカーが指定したモノを守れば、内部のスラッジ堆積を防げるハズだ。

 ただし自動車メーカーが推奨するエンジンオイルの交換サイクルは、個々のクルマの使用状況が異なるため、必ずしもエンジンにとって適切な交換サイクルというわけではない。メーカー推奨よりも交換時期を延ばしてしまったり、純正オイルよりも品質の低いオイルを使ってしまうと、エンジンの寿命は短くなり、エンジン内部もスラッジが堆積してしまうから避けよう。

 現在のようにエンジンオイルのロングライフ化が図られるようなったのは、発端は環境保全の視点からだ。廃油をできるだけ減らすことを目的にオイル容量も減らし、高性能で高耐久なオイルを使用することでロングライフと省資源化を実現している。

 エンジンの消耗をできる限り抑えたいのであれば、自動車メーカーが推奨する交換サイクルより早めに純正オイル、もしくは純正オイルと同じ粘度でより高性能なオイルを利用することだが、これは節約とは逆行することになるのでオーナー自身が判断してほしい。

■逆効果3/ATFを長期間交換せず汚れすぎると交換することによってむしろトラブルを誘発する場合も

ATFが汚れてくると燃費が悪化し、パワーが落ち、変速ショックが大きくなる。ATFが4万km走行するとこれだけ汚れる(写真)。日産では4万㎞ごとの交換を推奨している(出典:日産自動車HPより)
ATFが汚れてくると燃費が悪化し、パワーが落ち、変速ショックが大きくなる。ATFが4万km走行するとこれだけ汚れる(写真)。日産では4万㎞ごとの交換を推奨している(出典:日産自動車HPより)

 最近のAT車はATF交換不要を謳っているモデルが多いが、これもATF交換時にトラブルを起こすリスクを防ぐためだ。普通に使っているかぎりは、10年10万kmは壊れないようになっている。しかし、2万㎞、または2年でのATF交換を勧めておきたい。

 ATF交換推奨距離または時期は、トヨタやダイハツが10万㎞ごと、日産は4万㎞ごと、ホンダは初回8万㎞/2回目以降6万㎞ごと、マツダは車種によって交換不要/必要な場合があり、スズキは4万㎞/シビアコンディションの場合は3万㎞ごと、三菱は4万㎞/10年などとなっており、メーカーによっても車種によってもさまざまだから、愛車のエンジンオイル&ATFの交換推奨時期/距離は取扱説明書やメンテナンスノートを確認しておきたい。

 ちなみにシビアコンディション(エンジンオイルも同様)とは悪路や山道、登坂路などの走行距離が30%を占める、短距離低速走行やアイドリング状態が多い、1回の走行距離8km以下のちょい乗り、年間走行距離2万㎞以上などがこれにあたる。

 しかし、あまりに長期間交換せずにいるとATFは熱によって酸化し、ギアの摩耗によって金属粉やスラッジが蓄積し、固着することが多く、ギアの滑りや変速ショックの増大、燃費の悪化という症状に現われる。

 こうした症状が現われていない場合でも、新しいATFを交換したことによって、固着していたものが剥がれ、オイルラインから流れて各部が詰まるなどのトラブルを誘発する。お店によっては交換作業を頼んでも断られるケースがあるのもそのためだ。

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