【パジェロ VS ランクル…他】生き延びた天敵と消滅したライバル車

■プレジデント vs センチュリー 日産は御料車の座まで奪われ……

日本の二大ショーファーカーとなるプレジデントとセンチュリー。両車は1980年代まで、プレジデントは1973年の2代目モデル、センチュリーに至っては1967年登場の初代モデルという化石のようなクルマが販売されていた。

2代目プレジデントはご覧のような威厳を備えていた。V8を搭載し、フラッグシップらしい全長5280mmの存在感は伊達ではない

クルマ自体の特殊な性格もあり、その意味では似たり寄ったりなクルマであった。

しかしプレジデントは1990年に初代インフィニティQ45ベースながら3代目モデルにフルモデルチェンジされる。

初代センチュリーに対する圧倒的な機能面のアドバンテージや、風格あるスタイルを持ち、日本を代表するVIPカーになりかけた。

国産市販車唯一のV12エンジンを搭載した先代センチュリー。2系統の制御ラインを設けて緊急時の走行も可能にするなど、そのこだわりは尋常ではなかった

一方のセンチュリーも時間は掛かったものの黙っておらず、1997年の30年振りのフルモデルチェンジで、日本車では最初で最後になるであろう5リッターV12の搭載を含めすべてを一新。

この時にプレジデントの存在感は霞んでしまった。その後プレジデントは2003年に4代目モデルにフルモデルチェンジされる。

しかし当時は日産が企業再建中というタイミングの悪さもあり、4代目モデルは当時のシーマがベースという苦しいもの。

最後のプレジデントとなった4代目。シーマと共用のメカニズムであり、ライバルセンチュリーの専用設計に比べるとやや見劣りがする

4代目プレジデントが苦戦していた時代にセンチュリーの躍進ともいえる大きな出来事があった。

それは日産が(旧プリンス自動車)が担当していた御料車のプリンスロイヤルが、老朽化により2006年に2代目センチュリーベースのセンチュリーロイヤルに移行したこと。御料車という誉れ高い大役をライバルに譲った形だ。

消滅したプレジデントに対し、進化を続けるセンチュリー。今後はセンチュリーが1台で日本のショーファーカーを担っていくのだろうか

現在はと言えば、センチュリーは2018年に5リッターV8ハイブリッド搭載の3代目モデルにフルモデルチェンジされ大きな注目を集めている。

プレジデントは2010年に絶版となり、2012年登場の5代目シーマが後継車的に存在するという、あまりに対照的な状況だ。

■日本の4WDはいかに? パジェロ対ランドクルーザープラド

1982年に初代モデルが登場したパジェロ。1991年から1999年に掛けて生産された2代目モデルまで、乗用車的にも使える本格的なクロカンSUVとして孤高の存在であった。

当然ながらトヨタもパジェロに刺激される。1990年にはランドクルーザー70系にパジェロを意識したプラドを追加。

クロカン4WDがメインの時代に、乗用の4WDという世界観を出したパジェロ。その潮流にトヨタも乗ることになる

1996年にはプラドを2代目モデルにフルモデルチェンジするのだが、パジェロの牙城はついに崩せなかった。

しかし1999年に登場した3代目にパジェロは新鮮味がなく、このジャンル自体も下火となり販売は下降傾向となった。

1990年登場の初代プラド。角目のヘッドライトが乗用4WDを印象付け、パワートレインなど充実していたがパジェロの牙城は高かった

プラドにとってそんな追い風が吹き始めた状況下で、プラドは2002年の3代目、2009年の現行型となる4代目モデルとフルモデルチェンジを実施。

年々高級感を増し、それに伴いブランドイメージも向上するという好循環が起きた。そのため今では総額が最低400万円はするクルマにも関わらずなんと月に2000台近くが売れている。

どんな時代も熱いファンに支えられてきたパジェロ。3代目はあまりにもキープコンセプトで、少しファンからの支持を失った

対するパジェロはといえば2006年に現行型となる4代目にフルモデルチェンジされるものの、この時点で残念ながら3代目プラドに対するアドバンテージは価格くらいしかなく、プラドとの差は開く一方となっている

(編集部註:パジェロは2018年10月にマイナーチェンジを実施。かつてオプションだった装備を標準化するなどを充実化を行っているが、自動ブレーキなどの安全装備はなくプラドとの差になっている。頑張れパジェロ!!)。

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