■WLTCモードの今後と各社の対応策
テストを終えて、鈴木氏はこう総評する。
「今回テストしてわかったけれど、WLTCの数値は実走行にかなり近い値。我々、特別なエコランをしていないわけだから。
もちろん、ドライバーによって燃費は変わるけど、全ドライバーの中央値に近い燃費数値と思っていい。WLTCが導入されて新しい規定が決まったから、今後はこの規定に合わせて自動車も進化するでしょう。
自動車メーカーによって得意不得意があるけど、不得意なところを補っていくことになるよね。日本はWLTCのエクストラハイ(最高速度130km/h程度の高速走行)モードがないから、市街地モードの比重が大きい。
そこに圧倒的に強いソリューションを持つのがトヨタ。海外ならエクストラハイの燃費を上げてトヨタに対抗すればいいけど、日本ではそれができない。
トヨタと戦うには、他のメーカーは市街地の燃費を上げていかなきゃいけないということになるね。
市街地はエンジンを止めないと燃費はよくならない。アイドリングストップはアイドリングストップ機能がないクルマに比べて燃費が10%くらいよくなるんだけど、ハイブリッドはエンジンを停止しながら走れるからさらに燃費に効く。
海外メーカーがこぞって採用している48Vのハイブリッドシステムについては、簡易型のハイブリッドシステムだから燃費がメチャクチャ上がると思ったら間違い。
スズキのように全車標準化してベースの底上げに使うもの。トヨタの人は『48Vは費用対効果が悪すぎるからやらない』と言っている。
全車電動化が義務付けられたら安いクルマに採用するかもしれないけれど、お金がかかるわりに効果が少ないとの考え。
ヨーロッパはトヨタにかなわないから48Vに全力投球するわけなんだけどね。トヨタのハイブリッドシステムに正面から対抗しているのはホンダだけど、i-DCDやめるらしいね。
やっと熟成したのにもったいない。むしろe-POWERのほうがトヨタの足元を崩せるかもね、凄く安いシステムだから。
特許の問題がクリアできれば真似するメーカーも出てきそう。あと気になるのは、今後増えてくるEVやPHEVの燃費測定ルール。
電気の充電状況で燃費の値は大きく変わるから、そのあたりのルール整備が今後の課題だね」。
今後はWLTCモードにおいては仕向け地向けのプログラムを組んでくるメーカーもあるのかもしれない。特に日本のやや特殊な交通事情では輸入車勢は厳しい戦いになりそうだ。
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