■クラウンがニュルを走りこんで目指したものとは?
【新型クラウン】ベンチマーク達成度 85
2018年6月にフルモデルチェンジされたクラウンも歴代モデル同様に基本的に輸出されないモデルである。
しかし現行クラウンは明らかに輸入車も意識して開発されていると思われる節がある。それはニュルブルクリンクでのテストにも表れているだろう。
「いいクルマ作り」という豊田章男社長のスローガンを実現するためとはいえ、クラウンをニュルでテストする意味はほかにもあるはずだ。
輸入車でいえば同クラスに属するベンツEクラスや、BMW5シリーズをベンチマークにしている可能性は高い。
現行クラウンとEクラス、5シリーズを比べてみると、現行クラウンは日本の交通環境下では十二分な性能を備え、先代モデルに比べれば2台との差は大きく縮まっている。
しかし、2台を明確に上回っている部分というのも「日本で使う際のサイズ感」くらい。運動性能などではまだ差があるといえる。
またメリットになりそうな価格だが、輸入車勢の大幅な値引きや登録済中古車なども視野に入れてば、意外にベンチマーク2台と変わらないというが率直な印象だ。
■FFニュル最速がベンチマーク シビックタイプR
【シビックタイプR】ベンチマーク達成度 110
2016年に750台で限定販売された先代モデル以来、シビックタイプRのコンセプトはズバリ「FFニュル世界最速」である。
となればベンチマークはとてもわかりやすくFF車での最速記録を持つクルマになる。それは7分47秒19で最速だったVWゴルフGTIクラブスポーツSとなる。
現行シビックタイプRは7分43秒8というタイムでFFニュル最速の座をゴルフGTI クラブスポーツSから奪還しており、この時点でベンチマークを凌駕したといえる。
もっといえばVWゴルフGTIクラブスポーツSは2シーターであり、まさに「レコードメイカー」として登場したスペシャルモデルだ。
それを考えれば固いだけではないしっとりした足回りや、大人4人が無理なく乗れるシビックタイプRの完成度は高いだろう。
■STI S208はBMW M235iを超えている!!
【STI S208】ベンチマーク達成度100
スバルのモータースポーツ活動やスペシャルなコンプリートカーの開発などを手掛けるSTI。ベンツのAMGやBMWのM社のような存在を目指いしている。
そのSTIが2017年10月に450台限定でリリースしたS208はWRX STIをベースにクラッチを含めバランス取りを行った329馬力のスペシャルエンジンを搭載。
フロントはダンプマチックIIとなるビルシュタインダンパー、STIのパーツを使ったボディ補強、レカロシートなどのチューニングを施したコンプリートカーだ。
このS208はM235iをベンチマークに置いたと公表されているが、2台を実際に比較するとS208がM235iを凌駕する部分も多い。
S208はベース車に対しターボラグが少ない上、レッドゾーンまでスムースかつ爆発的なパワーを伴いながら回るエンジンに感心する。
そして正確性の高いハンドリングも持ち合わせておりS208がM235iに勝る。乗り心地に代表される快適性はM235iの勝ちであるが、S208もロードカーとして充分な快適性を備えており、総合的な走りの性能は互角といえる。
ただSTIのブランド力は歴史の差などによりグローバルではAMGやM社にはまだ並んでいないのは否めない。
しかしそのあたりもモータースポーツ活動やコンプリートカーのリリースを重ねることで縮まっていくのではないだろうか。
【まとめ】
こうして見ると輸入車をベンチマークとした日本車の達成度もなかなかのものに感じる。しかしベンチマークだけを考え開発すると、同じ方向性でそのクルマを上回るクルマが出た際にそのクルマの存在意義が急激に薄れてしまうのも事実だ。
この点を思うとベンチマークを凌駕することだけでなく、前述した初代セルシオのように日本車が「そのクルマだけの世界、キャラクター」も持つことも必要になる。
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