2018年10月24日に発表されたレクサスESは、量産車初となるデジタルアウターミラーを採用し、ミラーレス車として話題を呼んでいる。
こうしたユニークな装備こそ、昔から日本車の得意分野なのだ。そこで、過去から現在まで、さまざまな国産車の斬新すぎた、アイデア倒れともいえる装備を紹介していこう!
文/渡辺陽一郎
写真/ベストカー編集部
初出/ベストカー2018年11月26日号
■バブル時代に多かった珍装備、アイデア倒れ装備

OKモニター (1973年5代目コロナ) オーバーヘッドコンソールに配置された装置で、番号灯やブレーキ、尾灯、前照灯、ウィンドウウォッシャー液、バッテリー、ラジエター液量、エンジンオイルなど11の情報を表示した

集中ターゲットメーター (1978年初代プレリュード) ホンダが145クーペ以来の2ドアクーペモデルとして発売した初代プレリュードに用意されたのが集中ターゲットメーター。これはスピードメーターとタコメーターを同軸に表示してあり、中心部にはオイルや電圧、残燃料など各種警告灯を表示させているもの
クルマのように着実に進化する商品では、常にさまざまな開発が行われる。なかにはどうしてこんなの作っちゃったの? という失敗作もあるからおもしろい。
過去を振り返ると、1950~1960年代はエンジンやサスペンションなど走りの基本技術が進化したから、装備まで手が回らなかった。1970年代も厳しい排出ガス規制の対応に追われ、これがようやく落ち着くと、アイデア装備の開発が活発化した。
したがってユニークな装備は、主に1980年代に登場している。この時期を過ぎると装備の開発も洗練され、失敗作も減っていく。
1980年代に急増した背景にはバブル経済に向かう好景気もあった。「便利で面白いクルマを作ろう」という意欲と、経済的な余裕から、ユニークなアイデアが生まれたワケだ。
外装関連では、初代レパード(1980年)の電動ワイパー付きフェンダーミラーが挙げられる。フェンダーミラーの鏡面に小さな電動ワイパーを装着して、雨滴を除去した。

電動ワイパー付きフェンダーミラー (1980年初代レパード) 斬新な装備がてんこ盛りだった初代レパードで最もユニークなのがワイパー付きフェンダーミラー。そもそも見にくい
6代目マークⅡ(1988年)も、サイドウィンドウワイパーを採用した。ドアミラーの鏡面ではなく、サイドウィンドウの前側に小さな電動ワイパーとウォッシャーを装着して視認性を確保した。
同世代のマークⅡやコロナには、超音波で雨滴を除去する機能もあった。鏡面の裏側で超音波を発生させ、雨滴を霧化している。

サイドウィンドウワイパー (1988年6代目マークⅡ) ミラーやヘッドライトじゃなく、サイドウィンドウについている数あるワイパー系珍装備のなかの王様。スイッチを押すとサイドウィンドウの下から上に向かってワイパーが作動するというスグレモノ?

超音波雨滴除去装置付きミラー(1988年6代目マークII)。数秒間、超音波振動で雨滴を飛ばし、残りはヒーターで雨滴を除去する珍なハイテク装備
4代目シルビア(1983年)は、リトラクタブルヘッドランプにワイパーを組み合わせた。固定式ヘッドランプのワイパーは、ボルボなども含めて幅広い車種が採用している。
■スカイラインクーペと三菱GTOのオートスポイラー
外装パーツでは7代目スカイラインクーペ(1986年)のGTオートスポイラー。速度が70㎞/hに達すると自動的に下降するが、スイッチ操作で任意に降ろすこともできた。
GTO(1990年)もフロントベンチュリーカバーとリアスポイラーが速度に応じて自動的に動くアクティブエアロシステムを採用した。GTOには後輪操舵を含めて可変機能が多く、排出ガスの流れる経路を変えてマフラーの音質を変化させるアクティブエキゾーストシステムもあった。
外装関連で感心したのはボンゴフレンディ(1995年)のオートフリートップだ。駐車時に電動で天井を持ち上げると、2名が就寝できるベッドスペースになる。
キャンピングカーでは普及していたが、オートフリートップは電動式だから扱いやすく、格納時には両脇のテントがキレイに畳まれた。当時のキャンピングカーに装着された手動式は、畳む操作に不慣れだと、テントが内側へ収まりにくく外側にハミ出したものだ。