2018年に消えた愛すべき絶版車とその功績 5選

 クラウンなど歴史ある車のフルモデルチェンジを筆頭に、数多くの新車が登場した2018年。その裏側で、ひっそりと消えていった絶版車たちの姿がある。

 今年は例年以上に数多くの車が表舞台から消えていった。なかでも1996年に誕生し、近年は日産車唯一のステーションワゴンとなっていたウイングロード、N-VANの登場と入れ替わる形で1999年から20年近く販売を続けてきたバモスなど、長い歴史を持つ車も消滅している。

 ……しかし、消えゆく車に功績あり。今年なくなった絶版車は、それぞれに個性を持ち、自動車史を彩った車たちなのだ!

文:御堀直嗣
写真:編集部、TOYOTA、Honda


アベンシス/2003-2018年

通算3代目となる最終型のアベンシス。欧州では2009年より発売されたが、日本では2011年にワゴンのみ輸入が再開。その後2012年、2015年改良型(写真)と外観が大きく変わった

 トヨタのアベンシスは、初代が欧州専用車種として販売されたが、2代目となって日本にも輸入されることになった。その時の印象はいまなお忘れがたい。

 イギリスで生産され日本に輸入されてきた2003年の2代目アベンシスは、トヨタ車と思えないほど欧州車的な仕上がりであり、操縦安定性に優れ、思い通りに運転することができ、また乗り心地が快適で疲れないクルマだった。

 ことに座席のつくりは群を抜いており、開発責任者に問うと「欧州で手に入るウレタンの材料が日本製と異なり、この材料特性は日本で得られないものだ」と答えた。トヨタの信頼と安心を備えながら、欧州車の味をそのまま伝える一台であった。

 一方、日本で主力のコロナやカリーナ(後のプレミオやアリオン)に比べ3ナンバー車となるほか、プリウスが2代目となって人気を高めるのに際し、ハイブリッド車の設定がないなどにより販売台数が伸びなかったと思われる。

 3代目へモデルチェンジする前に国内販売は打ち切られ、その後数年を経て3代目がステーションワゴンのみ輸入されたが、存在感を示せずに終わった。同様の欧州の4ドアセダンやステーションワゴンは、国内でも堅調な販売といえ、強いブランド力を持てずに終わった惜しい実力車といえる。

ウイングロード/1996-2018年

2005年発売のウイングロード。全長4400×全幅1695×全高1505mmの5ナンバーワゴンかつ日産車唯一のワゴンは今年、3代22年に渡る歴史にピリオドを打った

 日産のウイングロードは、サニーカリフォルニアとADワゴンを統合して誕生し、5ナンバーステーションワゴンとしてカローラワゴン/カローラフィールダーとともに固定ファンを持つRV(レクリエイショナル・ヴィークル)といえた。

 しかし、カローラフィールダーがより質を高め、乗用車としての快適性を高めていったのに対し、日産復活の「リバイバルプラン」の影響を受けたためか、商品力においてトヨタとの差がついていった。

 ことに最終型となる3代目においては、基本となるティーダとの共通部品化が進められたことから、外観上客室と荷室との造形の連続性がなく、格好いいとはとても言えない姿となった。

 ステーションワゴンは、実用性はもちろんのこと、それを使って余暇を楽しむ嬉しさや遊び心を湧き立たせる車種であり、外観はそうした人生観を示すものでなければならない。

 近年、SUV(スポーツ多目的車)人気によってステーションワゴンを選ぶ人が減ってきているが、輸入車を中心にステーションワゴンは堅調な販売を持続しており、5ナンバー車種において姿も実用性も優れるステーションワゴンがあれば、選びたい消費者はいるはずだ。

 前身のサニーカリフォルニアは、その車名から、いかにも陽光の輝く青空のもと旅に出る嬉しさを感じさせたクルマであり、それを受け継いだウイングロードがしぼむように姿を消すのはいかにも残念だ。

バモス/1999-2018年

軽バンのアクティと基本設計を共用する乗用ワゴン版がバモスだ。2003年にはハイルーフ仕様のバモスホビオ(写真)も追加。1代で19年間販売されたロングランモデルだった

 ホンダのバモスは、独特な系譜を辿ったクルマである。

 初代は、ミッドシップのエンジン配置で後輪駆動となるトラックのオープンカーであった「TN360」という軽トラックを基に開発され、用途は限られたが遊び心のある独創のホンダらしい一台だった。

 2代目はいわゆるキャブオーバー型のワンボックスカーとなったが、エンジン配置はミッドシップで後輪駆動であった。元々あったホンダ・ストリートというワンボックスに比べホイールベースが長く、タイヤが車体の四隅にあり、いかにも安定性のよさそうな外観はいま見ても古さはい。4輪駆動車も選べ、19年間に及び継続的に生産され、後継のN-VANに引き継がれた。

 エンジンをミッドシップに搭載し、後輪で駆動するバモスは、FFとなったN-VANに機能性が正しく受け継がれ、駆動方式等変更になったとはいえN-VANは運転しやすく、走りのいい軽ワンボックスとして誕生している。

 2輪から4輪へ進出したホンダが最初に作ったクルマがTN360であり、ミッドシップ車として軽トラックといえども走りのよさや楽しさを主張してきたホンダの血統は、バモスを通じ、N-VANへたしかに受け継がれたと思う。

プレマシー/1999-2018年

通算3代目となるプレマシーは2010年に発売。ミニバンながらハンドリングには定評があり、このモデルから現在に至るマツダ車の新しいハンドリングが始まったという

 MPV(多目的車)という分類をそのまま車名としたクルマが生まれたのは、1988年のことだ。ホンダ オデッセイが1994年に誕生し、日本にミニバンブームが起こる前から、マツダは家族で乗れ、荷物も積んで旅に出られる多目的車の価値に気づいていた。

 MPVは、当初から3ナンバーミニバンだが、5ナンバーミニバンとして1999年に生まれたのがプレマシーである。

 5ナンバー車でありながら3列シートを実現するには空間的な苦しさもなくはなかったが、それでも5ナンバーで7人乗りをしたい消費者の要望に応えるべく開発された。

 マツダが企業メッセージとして掲げるZoom-Zoomによる運転の楽しさと、大勢で出掛けられる車種としての位置づけとの間でやや調和の欠ける側面もあったが、どのような車種でもクルマで出掛けることを楽しませようとするマツダの思いが伝わるクルマであった。内外装含め造形や色使いに気配りがあり、お洒落さを大切にする様子もうかがえた。

 2012年からの新世代商品群の中に、かつてマツダがいちはやく手掛けたミニバンの構成はない。CX-8で3列シートを採用したが、MPVという“多目的車”の代替にはならない。

 最終的に3ナンバー車とはなったが、5ナンバー車を基本に3列シートを実現してきたプレマシーの役目も、3代目で終わってしまい、愛用してきた人はこのあと何を選べばよいのだろう?

エクシーガ クロスオーバー7/2008-2018年

2008年発売のエクシーガから、よりSUV色を強めたモデルとして2015年に登場したのがクロスオーバー7。日本ではスバル車唯一の3列シート車だった

 クロスオーバー7は、スバルがはじめて開発したミニバンのエクシーガが2008年に誕生し、その7年後の2015年に追加設定されたクロスオーバーSUVである。

 エクシーガは、フォレスターを基に開発されたミニバンであり、3列シートそれぞれにきちんと人が座れるスバルらしい実直で誠実なミニバンだった。一方で、後ろのドアがスライドドアではなくヒンジドアであることや、他のミニバンに比べ乗用車的な外観であることなどにより、必ずしも販売が順調ではなかった。

 一方でスバルは、ステーションワゴンやハッチバック車の車高を上げ、RV(レクリエイショナル・ヴィークル)的な仕様にした、レガシィ アウトバックやインプレッサXVなど、独自性の強い商品を開発し、人気を得ていた。そこで、ミニバンも同じような発想で外観を改良したのがクロスオーバー7であった。同時に、内装にも革やタン色などを用いることで、上級車種の趣を加えた。

 もとがフォレスターであるから、ミニバンというよりクロスオーバーSUVで、なおかつ3列シートであることにより、今日のSUVの3列シート化の先駆けになったと言えなくもない。

 スバルは、中期経営計画で米国市場を重視し、世界販売台数の拡大を目指している。その結果、国内市場においては車種の絞り込みがないわけではない。

 クロスオーバー7は、スバルの独自性を示してきた一台であり、SUVの3列シート化が起こり始めた今日、もうしばらく販売を続け、またモデルチェンジも行えれば、市場の変化が起きたかもしれない。

◆2018年に消滅した絶版車
・トヨタ/アベンシス、FJクルーザー
・レクサス/HS
・日産/ウイングロード
・ホンダ/バモス(アクティバン)
・マツダ/プレマシー、ビアンテ
・スバル/クロスオーバー7

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