最新「無意識にやっているクルマの寿命を短くする運転」とは?

 30年前に比べると、クルマがかなり進化しているのを実感しませんか? めったに故障しなくなり、耐久性も上がっています。

 それを裏づけるように自動車検査登録情報協会が公開している、クルマの寿命といえる、平均使用年数のデータがあります。

 2017年3月末の乗用車(軽自動車を除く)の平均使用年数は13.24年。前年に比べ0.33年長期化し、3年連続の増加で過去最高となっています。平成元年の平均使用年数は、9.09年だったので、約40%も寿命が伸びたことになります。

 このように長くなったクルマの寿命ですが、ある無意識な運転、行為がクルマの寿命を短くしています。

 そのクルマの寿命を短くする無意識な運転とは、どのような運転なのでしょうか? モータージャーナリストの鈴木伸一氏が解説致します。

文/鈴木伸一
写真/ベストカーWeb編集部  Adobe Stock


■もはや10年10万kmは通過点に過ぎない

ひと昔前までは”10年10万km”がクルマの寿命といわれていたが、いまやそれは通過点にすぎない。しっかりメンテナンスをしていれば30万km走れるクルマはザラにある

 平成初期くらいまでのクルマは5万~6万㎞走るとガタが出始めた。確実にトラブルが「ドライブシャフトブーツ」で、これくらいの距離を走ったら切れて当たり前。

 そして、10万㎞近くなったら「タイミングベルト」の交換、「フットブレーキ」のオーバーホール(昭和モデルでは4年に1回が基本だった)、「オルタネーター」のオーバーホールなど、かなり手を入れる必要が生じた。  

 それゆえ、10年10万㎞は1つの到達点。それを超えて使用するとなると、かなり気合いを入れる必要があり、運転の良し悪しも寿命を大きく左右した。  

 ところが、平成2桁代に入ると各パーツの耐久性が格段に向上。それ以降、メンテナンスフリー化がどんどん進み、近年のクルマは油脂類さえキッチリ交換していれば 10万㎞は単なる通過点。よほど不摂生していない限り、ほぼ乗りっぱなしでも走り切れてしまう。  

 このため、多少の負担をかけた程度では壊れやしないが、塵も積もれば山となる。 各部に負担のかかる運転を続けていれば調子を崩し、ある日突然トラブルに見舞われることになる。10万㎞超えを目指しているなら、クルマに負担のかかる走りは極力控えたい。

■クルマの寿命を短くする無意識な運転その1/停車時の据え切り  

ふだん、駐車場にクルマを停める際、何気なく無意識のうちに停車した状態でハンドル操作をする、据え切りをしていませんか?

 パワーステアリングが当たり前になった今のクルマは、停車した状態でも楽にハンドルを切ることができる。  

 このようなハンドル操作を「据え切り」と呼び、無意識のうちに行っていることでしょう。しかし、パワステが動作していない状態のハンドルは極端に重い。

 路面をグ リップしているタイヤを無理矢理、左右にこじることになるからで、パワステのなかった昔のクルマは動き出してからでないとハンドルは回せなかったのだ。

 パワステは電動や油圧によるパワーアシストによって力ずくで動かしているわけで、たまに1回や2回、「据え切り」したからといって壊れることはない。

 しかし、 駐車する時やUターンなど日常的に繰り返していたなら注意が必要。走行時よりパ ワーアシストする力が必要となるため、電気モーター(電気式)やパワーステアリングフルード(油圧式)が発熱しやすくなる。

 タイヤやステアリングリンケージ回りにも確実に負担がかかるからだ。 このパワーステアリング、「油圧式」と「電気式」の2つの方式に大きく分けられるが近年は後者が主流となっている。

 その電気式の場合、電気モーターや配線が高温で傷む恐れがある。平成初期まで主流だった油圧式の場合、油圧経路には常に高い 圧力がかかっており、フルロック状態では逃げ場がなくなった圧力を解放するためリリーフバルブが開く。

 が、頻繁に繰り返すとリザーバータンクからパワーステアリングフルードが吹き出したり気泡が発生してしまうことも。心当たりがあったら注意。

■クルマの寿命を短くする無意識な運転その2/駆動系の寿命を縮める急加速、急ハンドル

クルマを長持ちさせたいなら急発進、急加速など、”急”が付く運転はできるだけ控えたい

 クルマを長持ちさせるコツは「無理な負荷をかけない」ということに尽きる。このため、急発進・急加速という「急」の付く走りはできるだけ控えたい。

 例えば、コーナリング時、左右のタイヤには回転差が生じ、直結ではスムーズに曲がれない。そこで「デフレンシャルギヤ」によって回転差を吸収させているのだが、ギヤが噛み合う面にはかなりの高荷重がかかる。

 回ろうとするタイヤを押さえつけるから で、そこにエンジンのパワーが加わって回転力が加わるため、Uターン等でハンドル を切ったままの急旋回は、かなりきつい。

 エンジンを支えている「エンジンマウン ト」に駆動系の「ドライブシャフト」、そして「ホイールベアリング」まで、とにかくすべてに負担がかかることになる。同じ負荷をかけるにしても、ゆっくりと操作する ことが肝心だ。

■クルマの寿命を短くする無意識な運転その3/エンジンをかけたらいきなり走り出す  

「暖機運転を10分間行ってから市街地を4.2km走ると、暖機運転なしの場合に比べ、燃費が25%悪化する」という調査結果がある。つまり、アイドリング状態で暖機運転をせずに走り出したほうが燃費は良くなるのだ

 近年のクルマは暖機運転は不要で、エンジンを始動したらすぐに走り出すことができる。  

 しかし、走り出していきなりアクセルを踏み込むと唸るような音がしてスムーズに加速できないはず。無理な負荷がかかっているからで、機械である以上は今のクルマでも準備運動(暖機)は必要というのが現実。

 やらなくても廃車になる十数年内なら大きな問題が出ないというだけで、調子を落とすことにつながる。ベストなコンディションを維持するために、始動したらオイルが回るまでひと呼吸置き、水温計が動き出すまでは抑え気味に走らせたい。

■クルマの寿命を短くする無意識な運転その4/ちょい乗りの繰り返し

ちょい乗りの繰り返しはクルマの寿命を短くする。1週間以上乗らなかった場合、最低でも30分は走らせたい

 機械物は動かさずにただ置いておくという状況が、もっともコンディションを悪化させる原因となる。例えば、クルマを動かさないとエンジンやミッション&デフレンシャルギヤの潤滑用オイルが流れ落ち、バッテリーはあがりやすくなる。タイヤも1点に荷重がかかった状態が長く続くと変形してくる。  

 このため、エンジンをかけるだけでは不十分。実際に走らせて適度な負荷をかけることが何よりも大切となる。だからといって、ただ走ればいいというものでもない。

 オイルは空気に触れると酸化し、過熱・冷却を繰り返すほどに酸化が進行する。さらに、エンジンオイルには燃焼室から吹き抜けたガスも混ざり込むため、エンジンが十分暖まって燃焼が安定する前に止めてしまうと未燃焼の汚れたガスがより混入しやすくなる。  

 つまり、ちょい乗りの繰り返しはエンジンオイルを劣化させる原因になるわけ。1週間以上乗らないで置いた時は、水温が安定するまで、できれば最低でも30分は走らせたい。  

最新号

ベストカー最新号

【スクープ】トヨタ直6モデル増殖計画|ベストカー6月26日号

 ベストカーの最新刊が本日発売! ついに公式発表されたマツダの直列6気筒エンジンが、トヨタ車にも搭載されるとの情報を独占入手。本誌スクープ班が掴んだ情報を詳しく紹介する。  そのほか、2019年5月にデビューしたスープラ&マツダ3のデザイン…

カタログ