火星の生活とクルマ〜2025年、片道切符の火星移住計画〜

 

一次選考に残った日本人は10人。最後まで残れるか?

 


 約6000億円かかるが個人負担はなし!!

 オランダの民間非営利団体「マーズワン財団」が進める2025年からの火星移住計画をご存じだろうか?
年明けにTVや新聞などで耳にした人が多いハズ。この壮大なプロジェクトは’11年からスタートし、昨年4月から移住希望者を募集したところ、世界107カ国から20万2586人が殺到した。

 

見だしあ用地。右側が上

 

 昨年8月で募集を締め切り、12月30日、一次選考で1058人が選ばれた。内訳は多い順にアメリカ人が297人、カナダ人が75人、インド人が62人、ロシア人が52人。日本人は396人が応募し、10人(男女5人ずつ)が選ばれている。
今年中に最終選考で24人に絞り込み、7年間の宇宙飛行士に必要な訓練を経て、’24年から2年ごとに4人ずつ火星に旅立ち、’33年には計20人が火星に移住する、としている。

 

 この火星移住計画、ほんとに実現するのか? しかも火星から地球に戻る宇宙船を打ち上げるのは技術的に不可能なため、移住者は二度と地球には戻れない、片道切符である。

 

 火星は地球のすぐ外側に軌道を持つ惑星。地球と比べると直径は約半分、表面積(全土が硬い岩石)は約4分の1、重力は約40%。平均気温はマイナス43度、最低気温はマイナス140度に達する。火星の重力は地球よりも弱く、大気が希薄なために熱を保持する作用が弱い。火星の大気は二酸化炭素が約95%、窒素が約3%、アルゴンが1・6%、そのほか、水蒸気が0・03%、酸素が0・13%である。しかし、約30億年より古い地質からは多くの流氷地形が存在し、かつては表層に液体の水が存在しうるほど温暖で湿潤な惑星だったことが、昨年NASAのキュリオシティ(無人火星探査車)の調査によって実証された。火星の地表面の土を採取し、分析したところ、重量比約2%の水分が含まれていることがわかったのだ。

 

 一番気にかかるのは最初の4人を移住させるのに約60億ドル(約6300億円)、その後4人ずつ送り出すのに約40億ドル(約4200億円)かかるが、その資金調達はどうするのかということ。寄付金やスポンサーからの資金提供、そしてテレビ番組によるもの。これは火星居住者たちの訓練や火星での暮らしをテレビ番組のコンテンツビジネス化するというものだ。現在スポンサーは23ほどついており、世界各国の企業、インターネットプロバイダ会社、法律事務所、家電量販店、3Dプリンターの会社などさまざまだ。

 


 火星ではどんなクルマが走れるのか?

 火星では酸素がほとんどなく、ローバーと呼ばれる半自律探査車(EV)が走っている。マーズワンのローバーの中身は明らかにされていないがCGを見るかぎり、動力源は太陽電池のようだ。

 

 いっぽう、現在、火星で稼働中のローバーはキュリオシティと呼ばれ、原子力電池を動力源に使っている。この原子力電池の元素が崩壊する際に出す熱を利用し電気を生み出す。装置の中核となる熱源としては、放射性元素であるプルトニウム238が利用されている。さらに、ここには熱電対と呼ばれる、熱を直接電気に変換する装置が取り付けられており、この装置により電気を生み出す仕組み。ミッション初期には125W、寿命が長く14年経っても100Wの電力が得られる。前モデル、MERの1日の供給電力が約0・6kWh、キュリオシティは2・5kWhと段違い。

 

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キュリオシティの最高速度は90m/h、路面状況を考慮に入れると平均30m/h、1日200m、2年間で19km移動

 

 車体は長さ3m(ロボットアーム含まず)、幅2・7m、高さ2・2m、重量は899㎏。科学機器が合計10個搭載され、6輪の車輪それぞれにモーターが装着されている。また、角にある4つの車輪には、それぞれに方向操舵用のモーターを装着。前方と後方の車輪は独立して操舵することが可能。サスペンションはロッカー・ボギー・システムと呼ばれる機構を採用しており、左右の車輪を独立に操作することができるほか、左右の車輪を独立に動作させることができるため、たとえ片方の車輪が砂地にはまるなどして動けなくなっても、片方の車輪でローバーを動かすことが可能だ。

 

10PH

 

マーズワンのローバーのCGイラスト。上のキュリオンティに比べ大掛かりな探査をしないためか太陽電池を使う

 


 火星に移住する前に知っておきたいこと

 記事をご覧のみなさんは火星に行きたくなりましたか?
そこでマーズワンとは違う組織だが、有人火星探査の研究を促進する任意団体「日本火星協会」に、火星の移住、生活に関する質問をぶつけてみた。

 

Q:なぜ火星探査に行く人は、片道切符なのでしょうか?

 

A:いったん火星に着陸して、さらに地球に帰還するためには帰りのロケット燃料が必要です。しかしそのようなシステムを開発するには膨大な費用と未解決の技術を開発する必要があります。そのためには時間も必要です。マーズワンのミッションの面白いところは、この往復の技術開発と費用を省き、とにかく今ある技術、可能なシステムを組み合わせて、とにかく最初の人間を火星に送ってしまおう、という人類初の火星着陸を狙っている点です。民間主導ならではのチャレンジングなミッションです。
帰還についてですが、2030年以降にNASAが火星有人探査(往復)を目指していますし、ロシアや中国、欧州も同様の開発を進めていますので、このシステムが順調に進めば、その往復システムにマーズワンメンバーが同乗して地球に帰ることも可能になるでしょう。ですから2040~50年頃には地球に帰ることは可能かと思われます。生きていれば、そして帰りたいと思えばですが……。

 

Q:火星での作業はどのようなものでしょうか?

 

A:約7カ月の宇宙飛行を経て2025年に到着する最初の4人は、事前に送られている資材、カプセル等を使って居住施設を建設すると思われます。2020年には居住ユニットカプセル2基、生命維持システムユニットカプセル2基、水や食料、酸素などの補給ユニット2基が到着しています。そして遠隔操作で着陸場所から約10㎞離れた居住地まで輸送され、カプセルが連結されます。事前に送られた資材には食糧、酸素、水、太陽光発電ユニットといった生命維持のための資材が送られているので、最初のクルーは最低限生きていけるでしょう。その後は自律生活に向けて食糧生産、エネルギー生産、探査などの仕事をするでしょう。

 

Q:生命維持装置、酸素はどのように移住者に供給されるのでしょうか?

 

A:生命維持装置は地球から送ります。酸素は当初はカプセルに搭載したものを使用しますが当然不充分なので火星から採取できる水を電気分解して得ます。空気に必要な窒素は火星大気から抽出します。大気の3%が窒素です。

 

Q:食べ物はどうなるのでしょうか? 自給で植物などの栽培を行うのでしょうか?

 

A:その通りです。到着後の初期は地球から持ち込んだ食糧に依存すると思いますが当然すぐになくなるでしょうから、自給自足のプロセスに依存します。野菜、穀物、タンパク源としての昆虫、魚を含む小動物などが検討されています。

 

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Q:居住スペースはどのようなものですか?

 

A:まだ発表されていませんのでわかりません。基本的な考えは地上と同じですが、居住カプセルはより狭くて窮屈だと思います。米国火星協会の模擬火星基地MDRS、あるいは北極模擬火星基地FLASHLINEはその原型となると思います。またソーセージのような拡張部分(風船のように膨らむ)が生活空間の中心との記事もあります。

 

Q:もし死んでしまった場合、お墓に埋葬することになるのでしょうか?

 

 宇宙と宗教は未知の分野です。火星で長期間生活し、しかも地球に帰れないとなると新しい宗教が生まれるかもしれませんが、クルー全員が地球で成長してから火星に行くわけですから地上で受けた宗教を踏襲するでしょう。ただ酸素は貴重ですので火葬は無理です。火星環境を地球の生物で汚染してはいけないので火星の地面に埋葬することも不可能でしょう。

 

 


 

 

火星に移住したらこうしたい

最後に「もし火星に行ったら何がしたいか」をテリー伊藤氏、エスパー伊東氏に聞いてみた。

「火星に移住したら、やりたい高能力芸」(エスパー伊東)

 

 ボクは正直なところ、火星には行きたくないが、もし火星に行ったとしたら、やりたいパフォーマンスは多々ある。
まず火星の気温は零下150度、平均気温が零下43度なので天然のドライアイスがある。そうとくれば、得意ネタの「ドライアイスニコニコ食い」です。火星移住者たちを喜ばせるため、毎日やりたい。また、火星は宇宙服なしでは20秒で気絶するので、本当かどうか、顔面だけ大気にさらして限界ギリギリまで耐えてみたいです。火星は地球の3分の1の重力だから、きっと身軽に動けるはずということで2mのバーを高跳びできるか? また高跳びした後、足ではなく手のひらで逆立ちで着地できないだろうか? そんなことをマジで考えてしまいましたあ~」

 

「初代の火星帝王になります」(テリー伊藤)

 

 私がもし火星へいったら何をしたいか? ひとまず、火星に帝国を作る。〝テリー帝国〟という名称にしてもいい。火星帝王だから、出で立ちはもそれなりにダースベーダー的な感じがいいだろう。火星は酸素がないから、ちょうど酸素吸入付きにすればあのダースベーダー風の衣装は最適なのである。
〝初代・火星帝王〟なのがポイントで、そういうことはとかく最初にやることに意義がある。あのWBCの第1回大会は日本が優勝したのだが、その時監督をしていた王さんがうれしそうに私に言っていた。「1回目に優勝するとWBCの開催のたびに初代優勝国の監督の名前がアナウンスされ、永遠に名前が残る。これが大きいんだよ」と。それと同じで最初の帝王になることが大切。その後は誰が帝王になっても構わないです(笑)。また、せっかくだから〝テリー帝国〟の旗も作りたい。パラパラ漫画ネタの鉄拳に依頼して帝国旗を作ってもらうとしよう。今思ったが、鉄拳はそのままいっても火星では違和感ないかもしれない。

<終>

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