50kg積んで50km先まで運搬できる大型ドローン、通称「50/50ドローン」)の開発が進んでいます。この「50/50ドローン」は、別名「空飛ぶ軽トラ」とも呼ばれているそうです。
実際の軽トラックは、最大積載量350kgで、満タンにしたら荷物を積んでいても500~600kmは走れると思うので、「空飛ぶ軽トラ」というのは、荷物を積んで簡便に使えるイメージを訴求しているんでしょうね。
「50/50ドローン」の開発が進む愛知発のニュースです。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真/プロドローン
名古屋市のプロドローンが開発する「50/50ドローン」
この「50/50ドローン」を開発したのは、名古屋市に本社のある産業用ドローンで知られる(株)プロドローンだ。
プロドローンは、愛知県が進める「革新事業創造提案プラットフォーム(A-idea」に「あいちモビリティイノベーションプロジェクト、空と道がつながる愛知モデル2030」を提案し、A-ideaの第1号として採択された。
このプロジェクトでは空と道がシームレスにつながり、ひとつの交通環境としてドローンや空飛ぶクルマ、自動運転車両が同時に安全に制御された、災害にも強靭なモビリティ社会を2030年の実現を目指している。
プロドローンは、昨年開催された「DORONE EXPO 2022 in Aichi」で12枚大型試作機「XPD12B」を初披露。文字通りプロペラ12枚のドローンで、EXPOでは43kgのポリタンクの運搬デモを実施した。ただ、この時の飛行能力は3km程度だった。
今年2月14日には、愛知県、名古屋鉄道株式会社、生活協同組合コープあいち、ミヤチ株式会社、新城市、豊川市、東三河ドローン・リバー構想推進協議会とともに、「高ペイロードドローンを活用した孤立集落への重量物を含む救援物資輸送の検証」を愛知県新城市で実施。
この検証は、東三河地域等の山間部で課題となっている、大規模災害による孤立集落の発生時に、高ペイロードドローンが救援物資の提供を行なう運用モデルの実証実験となる。
山間部などで高ペイロードの荷物を運ぶ実証実験
実験に際しては、優れた携行性と高ペイロードを両立するドローンの活用により、これまで実現がむずかしかった小型資機材(水・食料等)の大量輸送や蓄電池等の重量物輸送について検証。同時に、新城市と災害支援に関する協定を締結している生活協同組合コープあいち、および東三河ドローン・リバー構想推進協議会の会員ともに大規模災害時における連携を確認した。
この実証実験では、50kg搭載10km飛行可能な新製品「PD-Bear10」プロトタイプを活用して、重量物運搬の検証飛行を3回に分けて行なった。1回目は、初動から必要となる約15kgのバルーンライト、2回目は23kgの大容量蓄電池、3回目は43kgの水・食料の各救援物資を輸送。ネット等の重量3.5kgを加え、それぞれ18.5kg、26.5kg、46.5kgを運搬した。
今回の実証で使用した機体「PD-Bear10プトロタイプ」は、折り畳みが可能で、ワンボックスバン等に載せて搬送することができ、今後の量産化を見据え、メンテナンスのしやすさを追求し、シンプルな構造にしている。
重量物運搬飛行は、荷物搭載時と無搭載の時で大きく負荷が変化する。そのため無搭載時にはモーター回転数が低くなり、飛行が不安定になることが課題だったが、ゲイン調整、各アームの長さの変更、プロペラを見直すことにより、問題をクリアすることができた。
前述のようにプロドローンが開発を進める「50/50ドローン」は、このほどA-ideaの第1号として採択されたが、今後は愛知県、株式会社ジェイテクト、名古屋鉄道株式会社とプロドローンがコアメンバーとなり、5月25日にプロジェクトチームを立ち上げ、プロジェクトを推進するという。
プロドローンは、2025年までに官民連携の「空飛ぶ軽トラ」ドローン開発を進め、50kg積載で50km飛行可能な「50/50ドローン」の実現を目指すという。
「空飛ぶ軽トラ」は、平時には医薬品配送等で中山間部や離島の地域課題に貢献し、災害時は孤立集落等に救援物資を輸送することで減災に貢献する頼もしいドローンだった。
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