米国トラック協会は反対
とはいえ、運送会社の経営に余裕がないことは日本も米国も変わらない。高額のZEVトラックの購入を事業者に強制する今回の規制には反対する声も多い。
米国トラック協会(ATA)のプレジデント&CEOを務めるクリス・スピア氏はCARBの「ACF」規制が採択されたことについて同日付けで次のようなコメントを発表し、運送事業者にゼロエミッショントラックの購入を強制することは、これらのトラックが技術的にごく初期のものであり、それをサポートするインフラが存在しないという事実を無視していると批判した。
「本日、カリフォルニア州の理事会はトラック運送会社にZEVの購入を強制することを決定した。
運送業界はこうしたトラックを業務で運行するために何が必要になるのかようやく理解し始めたところだが、これまでのところ我々が学んだのは、ZEVが非常に高価であるということと、(バッテリーの)充電や(水素の)充填に関して全くインフラが足りていないということだ。
現状ではZEVによる『1対1』の置き換え(ディーゼル車1台をZEV1台で置き換えること)は不可能であり、カリフォルニアの道路では同じ量の貨物を輸送するのにより多くのトラックが必要になるだろう。
カリフォルニア州は非現実的な目標と、実現不可能なタイムラインを設定しており、間違いなくモノとサービスの値段は高騰するが、消費者には選択肢が残されていない。同州の掲げるレトリックがテクノロジーにマッチしていないことは明白だ。
我々はカリフォルニア州が方針を転換し、トラック運送会社がそれぞれの日常業務に適したクリーンテクノロジーを選択する自由を認めることを切望する。
ATAの加入事業者は、現在利用可能な最もクリーンなテクノロジーを駆使しつつ、全米の貨物を配達するためにたゆまぬ努力を続けている。過去35年間でトラックの排出量が98%も減ったのは、こうした努力によるものだ。我々はよりクリーンな技術を発展させることに対して常に『イエス』と答えて来た。
問題は、達成可能な目標と、実現可能なタイムラインだ」。
話は変わるが、欧州が乗用車用のICEを禁止するのは既定路線と思われていた。ところがドイツなどの反対で「eフューエル」という条件付きではあるが、一転してICEも容認された。米国のトラック業界がどのような経緯をたどるのか、日本としても注目する必要がありそうだ。
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