三菱が東南アジアで発売をしている3列シートミニバン、エクスパンダー。
かねてからベストカーWebで「日本導入熱望」とたくさん書いてきたクルマについに試乗記が到着です!!
現在このエクスパンダーは大人気でなんとガルーダ・インドネシア航空ではラッピング機も飛んでいるというほど。
そんなエクスパンダー、日本で試乗する機会はまずないという希少なクルマだが、今回はタイでの緊急試乗の様子をお届けします。
日本でも通用するクルマなのか国沢光宏さんに分析してもらいました。
文:国沢光宏/写真:ベストカー編集部
ベストカー2019年4月10日号
■日産へのOEMも決まるほどの大人気!!
最初に『エクスパンダー』の写真を見た時、脊髄反射の如く「いいね!」と思った。
調べてみたらインドネシアで生産される東南アジア向けのクルマだという。
1500ccエンジンを搭載する3列シートのミニバン+SUV÷2のようなジャンルです。CX-8の小型版だと思えば遠くない。
何より素敵なのが価格で、現地で販売している日本車で最も近いのはヴェゼル。初代CR-Vのように200万円くらいのスターティングプライスなら相当売れそうだ。
実車は昨年秋に行ったベトナムのモーターショーでチェックした。ここでの印象も相変わらず「いいね!」。
全長4475mm×全幅1750mmのボディは適度な存在感を持つデザインと合わせ、クラスレス感が強い。
過去に成功した日本車は「新しい価値観」という共通の特徴を持つ。
手頃な価格なのだけれど、ライバル居ないため安いクルマに見えないです。
実際、東南アジアでエクスパンダーの人気は急上昇! もはや生産が間に合わない状況という。
当初はインドネシアだけで販売したのだが、すぐ大量のバックオーダー抱えてしまう。
増産体制を整えてタイでも販売し始めると、これまた3カ月以上の納車待ちに。
昨年ベトナムで発売するや、やはりガッツリ人気になったそうな。
さらに日産まで「いいね!」と判断したらしく、東南アジアで販売している『リヴィナ』の後継モデルをエクスパンダーのOEMに選び、インドネシアで発売した。
今や三菱自動車のホームランと言っていい。
■1.5L+4ATでもなんら問題なし!!
「このクルマは売れるだろう!」と思った私の勘は外れていなかった。発表直後から試乗したかったのだけれど、なかなかタイミング合わず。
今回やっとタイでハンドルを握れた次第。最初の印象は「やっぱりいいね!」。
一番気になっていたのが1・5Lエンジン+4速ATというパワーユニット。
三菱自動車も、タイで販売する際に今やタイでも姿を消しつつある4速ATは、大きな弱点だと考えていたそうな。
けれど走り出すや、ほんとんど気にならない。考えてみれば今や4速ATもさまざまな味付けが可能。
エクスパンダーの場合「トルコンの滑り」と「ロックアップ」を上手に使っている。
特に4速ギアの使い方ときたら「なるほど〜」。
4速ギアに入ると100km/hで3000rpmくらい回っているのだけれど、すぐロックアップされ2500rpmくらいに下がった。
1.5Lで100km/h巡航が2500rpmならまったく不満なし。むしろタイのように、加速したい時はガツンと行きたい道路環境なら、滑り感のあるCVTよりいいかもしれない。
いや、このまま日本に持ってきても、アベレージ速度の低い日本の交通環境であればほとんど問題ないと思えるほど。
そもそも高級車じゃない。日本でエクスパンダーをリーズナブルな価格で売った場合、顧客層は軽自動車からのステップアップ組や、中古車を乗っていた人たちじゃなかろうか。
そういったクルマと比べたら、すべての点で優れていると考えます。
今回テストコースを走れたため、限界コーナリング時の挙動や全開時のエンジンフィール、継ぎ目路や荒れた舗装などさまざまな路面を試すことができた。
このままでもほぼ問題ないし、少し乗り心地のカドを取ってやれば、新興国の悪い道を走れるようなサスペンションストロークの長さがキッチリとよさになっていて、高い評価を得られるんじゃないかと思えるほど。
ぜひ日本でも販売してほしい! きっと売れます!
【エクスパンダー主要諸元(タイ仕様)】
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