カーボンニュートラルに向けて経済社会の変革を目指す「GX(グリーントランスフォーメーション)」では、経産省の「GXリーグ」が今年から本格的に始まり、このたび、いすゞ自動車も参画を発表した。
日本政府は2050年までのカーボンニュートラル実現を掲げているが、主に欧州が策定するルールを受け入れるだけでは市場での勝ち筋が無く、新たな市場創造とサステナブルな社会の実現には、GXにおけるリーダーシップが不可欠という危機感がある。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/いすゞ自動車・フルロード編集部
新経営理念体系のもとでGXを推進
いすゞ自動車は、2023年より本格稼働を開始した経済産業省の「GXリーグ」への参画を発表した。
日本政府は2050年までのカーボンニュートラル達成や2030年の温室効果ガス排出削減目標を掲げている。こうした環境目標を経済成長の機会と捉え、経済・社会システム全体の変革を目指すのが「GX(グリーントランスフォーメーション)」という考え方だ。
いすゞはGXリーグへの参画を通じて、同じ志を掲げる産学官などと協働し、カーボンニュートラル実現に向けたGXを推進して行く。
2050年の社会が豊かで持続可能であるために、いすゞは「いすゞ環境長期ビジョン2050」を掲げ、その取り組みを着実に実現するべく「2030環境ロードマップ」を策定している。
さらに、5月には新たな経営理念体系「ISUZU ID(イスズアイディー)」を公表し、「地球へのやさしさNo.1」を目標の一つに掲げるなど、地球環境への負荷を最小限にする挑戦を続けている。
経済産業省が昨年公表した「GXリーグ基本構想」にもいすゞは賛同していたが、今年から本格稼働を開始した「GXリーグ」にも参画することを決め、カーボンニュートラルでサステナブルな社会の実現に貢献するため、さまざまな事業活動を今後も推進する。
GXリーグとは
2050年のカーボンニュートラル目標を実現し、さらに世界全体のカーボンニュートラル実現にも貢献しながら、環境戦略を成長の機会として産業競争力を高めていくためには、国際ビジネスで勝てるような企業群がGXをけん引して行くことが重要となる。
GXに積極的に取り組む産・官・学のプレーヤーが、変革のための議論と新たな市場の創造のための協働を実践する場が「GXリーグ」だ。
GXリーグでは、GXへ挑戦する企業が排出量削減に貢献しつつ、外部から正しく評価されることで、経済・環境・社会の好循環を実現することを目指している。
日本企業は高度な低炭素技術を保有しており、世界のカーボンニュートラル化への貢献度も高い。しかし、そうした企業努力が正当に評価されているとは言い難い。その背景の一つが、国際的なルール形成で先行する欧州の存在だ。
欧州では欧州政府やEU加盟各国だけでなく、民間企業やNGO・NPOなども一体となってルールを形成しており、欧州標準は事実上の国際標準となっている。日本としても欧州のルールを受け入れるだけでは勝ち筋はなく、官民連携によるルール形成能力を高めて行く必要がある。
日本においては政府がルールを策定し、企業はプレーヤーという構造が固定化している。規制に対して「受け身」の姿勢では市場創造を提案できず、日本企業の持つ技術力や製品が活かされない。重要なのは国際的に活躍でき、GXを実践する企業のリーダーシップだ。
こうした背景からGXリーグでは、サステナブルな未来に向けて対話する場、市場創造やルールメイキングを議論する場、自主的な排出量取引を行なう場という三つの場を提供する。
新経営理念体系・ISUZU IDにおいていすゞは、「地球の『運ぶ』を創造する」を使命に掲げ、イノベーションリーダーとして「相互成長」をコア・バリューとした。社会を支えるインフラでもある商用車のメーカーとして、GXでのいすゞのリーダーシップに期待したい。
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