◾️適切な割増料金はいったいいくらか?
では、アクアラインにこの変動料金制が導入されると、どの程度渋滞は緩和されるのか?
日本の高速道路では、料金の割引による渋滞緩和策は前例があるが、割増した例はほとんどない。唯一の前例は、東京オリンピック・パラリンピック時(2021年夏)の首都高だ。
午前6時から午後10時の間、マイカー(トラック・バス・タクシーなどを除く一般車)の料金に1000円上乗せするロードプライシングを実施した。
首都高は、平均利用額が700円前後なので、1000円の上乗せはその2.5倍に相当する。かなり過激な割増策である。
効果は劇的だった。ロードプライシングの対象となったマイカーの交通量は、平日で23%減。休日は36%も減った。
目的別で見ると、「通勤通学」は微減、「業務」は約2割減にとどまったが、「レジャー」は、約5割のドライバーが利用を減らしたと答えている。仕事なら割増料金でも使うが、レジャー利用には抵抗感が強かったことがうかがえる。
休日のアクアラインは、大半がレジャー利用だ。そこで割増料金を実施すれば、大きな効果が期待できる。
アクアラインの通行料金は、ETCの普通車で800円。400円の割増は、首都高の2.5倍に比べると小幅だが、あまり高くしすぎると、割増適用外の時間帯に交通が移行しすぎて、別の渋滞を発生させかねない。午後8時以降の200円割引と合わせると、差はちょうど2倍になる。適切なレベルだろう。
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