道交法改正で整備されたラウンドアバウトのルール

ラウンドアバウトの現状は?

 さて、そんなラウンドアバウトだが、欧米諸国では、普及しているというが、それらの国内ではどの程度普及しているのだろうか? まずは、欧米諸国の事例からみていきたい。

 そもそもラウンドアバウトは、1960年代にイギリスで調査・研究が行われ、’93年に国がガイドラインを発行。これを契機に各国に急速に広まっていく。左のグラフは、アメリカのラウンドアバウト設置数だが、アメリカでは2000年に連邦レベルのガイドラインがFHWA(連邦道路管理局米国連邦運輸省)によって発行されている。

 こうして制度設計が整った甲斐もあってか、’99年には200件に満たなかった設置数が、’10年には、約2000件と、10年あまりの間に10倍もの設置数増となった。

 では、日本ではどうなのか?

 国内では、ラウンドアバウトの調査研究が今、まさに進んできた段階とあって、定点的に設置数の推移を追えるほどのデータはないが、現状の設置件数は138件。地域によっても導入にバラツキがあるが、近畿が48箇所とトップ。次いで関東が22箇所だ。ただし、どちらの地方でも都市部ではなく、6割以上が住宅地に設置されたラウンドアバウトだ。

 では、具体的にラウンドアバウトを設置した自治体では、今回の道交法改正で何か変化は起きているのだろうか?

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改修前の六本辻交差点は、6枝の変形交差点だった。安全面に懸念もあった。  
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こちらがラウンドアバウト改修後。安全性が向上したという地元民の声も多い。  

 ↑の写真の長野県軽井沢町の六本辻交差点では、’12年11月より、ラウンドアバウトの試験運用を行い、’13年度中の本格導入を目指し、整備を急いでいたが、今年の5月に完成し、本格導入となった。さらに道交法の改正に合わせ、標識の設置等手直しを加えるそうだ。

 いっぽう同県須坂市では、’12年4月から導入を検討していた野辺町のラウンドアバウト交差点が9月1日、道交法の改正に合わせ、導入開始となる。

 「標識はどうするか? など警察にご指導いただき、導入の準備を進めて参りました。ようやく法整備が追いついてきたという印象ですね」と須坂市の道路河川課担当者は話す。さらには、同県飯田市のラウンドアバウトでも、道交法改正に合わせ、進入車側の一時停止をなくすなど改良が施される模様だ。

なぜ、このタイミングなのか?

では、本題。なぜ、このタイミングでラウンドアバウトのルール作りが道交法にわざわざ盛り込まれたのだろうか?

国交省道路局の担当者は、「ラウンドアバウトは、欧米で効果が実証され、国内の大学でも研究されています。また、近年、実際に導入した交差点も見られるようになってきました。そのなかで、ルールを定めるべきでは? という声が、今回の道交法改正の背景にはあったのではないでしょうか」と、その理由について語った。

いっぽう道交法を所管する警察庁では、今回の道交法改正の試案について広く意見を募り、ラウンドアバウトに対する見解を昨年3月発表。その要点をまとめると

  • ①ラウンドアバウトは、条件が整えば安全面、交通の円滑の面などで効果が期待できる
  • ②今回の改正は、ラウンドアバウトを導入する上での課題の解決を助けるものである

 というもの。つまり、警察庁としても近年、社会実験なども行われてきているラウンドアバウトの効果を認識し、遅れていた法整備をしていこうということで、今回の改正に踏み切ったといえる。

まとめ

 従来の道交法では、「左方優先」の原則があり、これがラウンドアバウトの効果的な運用を妨げていた。ラウンドアバウトの研究や導入が進んできた今、その導入推進のため、今回、法改正が行われるというワケ。

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