なぜベンツは人気なのか?メルセデス神話を検証する

検証2

 故障が少なく、耐久性が高いのは本当か?

 「他車とはケタ違いの圧倒的耐久性!」ともいわれたメルセデスの各モデルだが、実際のところはどうなのだろうか?   「’90年代半ばまではさておき、今はそこまで圧倒的なモノではないでしょうね」。

 そう語るのは、ちょっと古いメルセデスの専門工場である埼玉県八潮市「セントラルオート」代表の児玉善一郎さんだ。「先々代W124型Eクラスの耐久性は確かに折り紙つきでした。もちろんクルマというのは消耗部品の集合体ですから、W124だって消耗部品は文字どおり消耗します。でもそれを替えてあげれば元どおりか、整備士の腕によっては元通り以上の状態になるのが当時のEクラスでした。鉄板の厚みも現在のモデルとは違いましたしね」

 それに対して最近のEクラスや先代Cクラスは? 「正直、下回りだけを見たらBMWやアウディと見分けがつかないメカニックも多いでしょうね。アンダーカバーを外した状態であっても、です。ブレーキキャリパーなんかもW124は対向ポッドでしたが、いまや片押し式(シングルピストン)ですから、メルセデスだからウンヌンというのはないんです」コストカットってやつだ!「でもそれは別に悪いことじゃないんですよ。

 シングルピストンでも、昔の対向式と同じ制動力が得られるようになったってことなんですから。我々も、ピストン1本交換すればOKな今のほうが正直ラクですし(笑)」

 耐久性の問題というより、クルマ作りの考え方が変わった……ということなんですね。

 「そのとおりですね。メカニックが勘を駆使して直すクルマではなく、必要があればとりあえず部品を交換し、そしてコーディングするという、現代のフツーのクルマになったということです。それでも変なクルマと比べればモノはいいですけどね」

 児玉さんによれば、先々代W211型Eクラスや先代W204Cクラスで最近増えている入庫理由は燃料ポンプ故障。それまでと違いインタンク式になったため、音などによる故障の前兆に気づきにくくなったのだ。

(text/フォッケウルフ)

検証3

 ベンツの買取価格が高いのは神話?

 日本人のメルセデスベンツ好きを証明するために、今度は買取価格で検証してみたい。中古車は人気によって価格が左右されるもの。もし、日本人がベンツを好きということであれば、中古車でも人気があるため、同じプレミアムブランドのBMWやアウディより買取価格が高くなるはずだ。

 そこで、今回はベンツの主要モデルであるCクラス、Eクラス、Sクラスのすべて先代モデルとそのライバルたちの現在の買取価格と新車時価格からの残価率を調べてみた。

 調査したモデルはすべて6年落ちの’08年式。年式をすべて揃えればベンツとライバル車の比較だけでなく、ベンツ同士での残価率も比較できるからだ。

W204型Cクラス
W204型Cクラス  

↑まずCクラス。

 新車時価格489万円のC200コンプレッサーアバンギャルドの買取価格は100万〜115万円で残価率は20・4〜23・5%と調査したなかで最も高い残価率を記録。そしてCクラスのライバルBMW3シリーズの残価率は12・2〜16・3%、アウディA4は16〜19・3%と圧倒的な差を付けて勝利。

W211型Eクラス
W211型Eクラス  

↑続いてはミディアムセダンのEクラス。

 新車時価格780万円のE300アバンギャルドSの現在の買取価格は110万〜130万円で残価率は14・1〜16・6%とまずまず。しかしBMW5シリーズの残価率は14・7〜17・3%、アウディA6が14・3〜17・3%とEクラスを上回る残価率を記録しEクラスは敗北。

W221型Sクラス
W221型Sクラス  

↑最後はSクラス。

 新車時価格1010万円のS350は買取価格150万〜175万円で残価率14・8〜18・3%を記録。BMW7シリーズとアウディA8は残価率がひと桁を記録していることから見ればSクラスの残価率は驚異的。

 ここでもベンツ強し!

 さらに実際に買取を行っている中古車販売店ZAK MOTORの桑野店長に話を聞いた。

 「ベンツの中古車は確実に売れるので買い取りしやすいし、高値がつきやすいとは思います。モデル問わず、市場相場の値崩れがBMWやアウディより少ないという傾向もありますね。特に左ハンドル車の人気は根強く、輸出にも強いというのがベンツの特徴です。特に左ハンドル車はボロボロでも輸出業者が高値で買いますから」とのこと。買取面ではベンツ人気は高いということが証明された。

(text/荻原文博)

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