なぜベンツは人気なのか?メルセデス神話を検証する

なぜベンツは人気なのか?メルセデス神話を検証する

新型Cクラスが登場し注目を集めている。

 なぜメルセデスベンツは日本人に人気なのか?その理由の元になっているのが、メルセデス神話である。安全神話、耐久性、買取額の高さ、この3つの神話について迫ってみた。

検証1

 メルセデスの安全性は世界一なのか?

 メルセデスベンツの車両開発はいつの時代も安全が最優先されてきた。1953年に衝突時の運動エネルギーを吸収する「衝撃吸収構造ボディ」をメルセデスベンツ180(W120型)が採用し、1978年には車輪のロックを防ぎ安定した制動力を発揮する「ABS」を初代Sクラス(W116型)に搭載している。

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最新の安全装備を見ると世界一の技術といわれている  

 その後も、4輪のブレーキを独立して制御し車両挙動を安定させる「ESP」や、高い乗員保護性能を短いボディで達成した2重フロア構造の「サンドイッチ・コンセプト」、さらにはブレーキ圧力を自動的に高めてフルブレーキをアシストする「ブレーキアシスト」など数多くの安全装備を世に送り出してきた。

 これらの安全装備は、そのすべてが世界初というものではなかったが、それでもフラッグシップモデルから順次、ボトムグレードに至るまで分け隔てなく採用してきたところにメルセデスベンツならではの安全神話を垣間見ることができる。

 2002年、メルセデスベンツの安全技術に革新が訪れた。「PRE─SAFE」と名付けられた新しい安全思想は、危険な状態にクルマを近づけないという「アクティブセーフティ」の分野と、事故の発生段階における「パッシブセーフティ」の分野を連続したひとつの時間軸として捉え、そのすべての段階で危険を回避、もしくは被害を軽減するという統合的な考え方を示したのだ。

 現在、「PRE─SAFE」の安全思想は大幅に進化し、「アクティブセーフティ」としての安全装備が担保する範囲は前方だけでなく車両の側方、そして後方にまで及ぶ。前方には25GHz/77GHzのミリ波レーダーセンサーと単眼またはステレオカメラ、車両側方と後方には25GHzのミリ波レーダーセンサーが搭載されるまでになった。

 これに超音波ソナーが加わることで自車周囲のほぼ360度に対して「電子の眼」が張り巡らされたわけだ。これは仮想上のバリアであることから「電子バリア」とも呼ばれている。また「パッシブセーフティ」もボディ構造の見直しによる乗員保護性能強化に加え、解析技術の向上によって対歩行者への加害性も低減された。

 「アクティブセーフティ」の代表格である「PRE─SAFEブレーキ」(衝突被害軽減ブレーキ)は、Sクラス〜Cクラスまで同じく50㎞/h程度での衝突を回避するだけの能力が与えられている。ただし、「50㎞/hでもぶつからない」とは本国ドイツであっても決して表現されることはない。

 これはドライバーの過信を遠ざけるメルセデスベンツならではの安全哲学だ。ドライバーがシステムに対して過剰な信頼を寄せないことが、安全装備との上手な付き合い方の第一歩であることをメルセデスベンツのエンジニアは昔からよく知っている。

 「危険を回避するにはドライバーの協力が必要です。PRE─SAFEブレーキは警報音が鳴ったら前方を向き、すぐさまドライバーがブレーキを踏むことで最大減の効果を発揮します」とメルセデスベンツの安全技術担当であるモーン・フランク・ヴェルナー氏はインタビューに答えてくれた。このようにメルセデスベンツの安全神話は、実はドライバーとの協調運転の上に成り立っているのだった。(text/西村直人)

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