■アウトバーンで顧客の満足度と高速度の安全性を守れる存在
世界で唯一、速度無制限区間を持つアウトバーン。ここでは速さが絶対的な支配権を持る。
かつてはフランスやイタリアなど他の欧州諸国も、スピード取り締まりのユルさによって「実質的に速度無制限」だったが、現在は130キロで厳しく取り締まられている。ドイツだけがスピード王国のままだ。
スピード王国では、何が重視されるか。もちろん速さである。その速さを維持するためには何が重要か。エンジンパワーもだが、安定したシャーシ性能や低い空気抵抗、そして低い重心高が重要だ。
速度を上げると、その二乗に比例して空気抵抗が増大する。前面投影面積が大きいと、ダイレクトにスピードと燃費に悪影響が出てしまう。
200km/hオーバーでは、特に燃費の悪化がウルトラ著しい。重心高も重要だ。200km/hオーバーでは、アウトバーンの緩いカーブでも限界に近いGが出る。
重心が低くなければ、速度を維持したままコーナーを曲がるのは難しい。全高が高いと横風にも弱くなる。
つまり、いかにSUVが世界的ブームでも、アウトバーンではセダンやワゴンに道を譲らなくてはならないのだ。
いっぽうワゴンは、セダンと大差ないスピード性能を持ちつつ、ラゲージ容量を大きくできるというメリットがある。
ドイツ以外の国では、もはやそこまでスピードにこだわる必要がない。よってワゴンの需要は減り、日本ではミニバンが、その他の諸国ではSUVがそれに取って変わった。
しかし、スピード王国という背景を持つドイツ製のワゴンだけは、他の低速諸国でもブランド力を保ち続け、それなりに売れ続けているという構図もあるわけですね。
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