ITSスポットを使って、ETCは従来の料金授受システムから運転支援システムへ
聞き慣れないETC2.0とは、これまで全国の高速道路に整備が進められてきたITSスポットサービスのこと。ETC2.0対応の車載器やカーナビを使うことで道路交通情報や安全運転支援などのサービスが受けられるようになる。ITSスポットサービスとして整備を進めてきたが、ユーザーへの認知がもうひとつだったこともあり、2014年10月からETC2.0と名称を変更したのだ。
以前Web2.0 という言葉があったように2.0は「次世代の」という意味を込めたもので「ITSスポットサービス」よりもずっと親しみやすい。
ETC2.0で可能になる新しいサービス
ETC2.0は高速、大容量、双方向通信が可能だ。つまり、リアルタイムの渋滞情報を得ることができ、落下物や渋滞末尾情報、地震など災害発生時に支援情報を得ることもできる。
現在、渋滞情報といえば、VICSが主流だが、2.4GHzの電波ビーコンは2022年3月31日でサービスが終了し、5・8GHzのETC2.0に一本化される予定だ。
道路側のアンテナであるITSスポットはすでに高速道路上を中心に全国1600カ所以上に設置され、機能も電波ビーコンに比べて大きく進化している。ITSスポットは最大1000㎞の区間ごとの所要時間データが対応カーナビに送られてくる(電波ビーコンは最大200㎞までしかできない)。また、ITSスポットは最大4枚の簡易図形の情報提供が可能になる(電波ビーコンは1枚のみ)ので情報量の違いは歴然だ。
このサービスを使えば、大都市圏全体の区間ごとの所要時間データを受信でき、ETC2.0対応ナビが最適ルートを選択してくれる。東京近郊では首都高の中央環状線と外環道、圏央道の整備が進み、この三環状が完成すれば東名高速から東京都心に進入するパターンは1470ルートにもなる。ETC2.0対応車載器には、都心混雑時の迂回を促したり、事故渋滞時に一般道路利用を促したりといった最新情報が刻々と送られてくる。
安全運転支援情報に加え民間サービスにも活用
日本全国に事故多発地点は数多い。ETC2.0は高速道路上で事故件数が多い箇所や重大事故が発生している箇所に差し掛かる前に注意喚起してくれる。たとえばカーブ先の見えない渋滞やトンネル入り口での渋滞、トンネルを出た時の積雪なども教えてくれる。
またETC2.0を使えば公共駐車場の決済や今後ドライブスルーでの自動料金決済やガソリンスタンドでの料金決済といったことにも利用できる。
そして特筆すべきはETC2.0の普及を加速すべくETC2.0を利用し、交通量が多い道を迂回し、渋滞していない道を選択した場合、通常のETC利用時よりも安い料金設定とすることも検討されている。たとえば、高速道路を降りて渋滞を回避し、再度乗る場合でも料金が割引されるというものだ。
ただし、ETC2.0サービスを利用するにはETC2.0対応車載器やETC2.0対応カーナビが必要だ。対応カーナビがなくても利用可能な車載器も開発される見込みだが、音声のみでの案内になる。
なおETC2.0対応車載器はDSRC対応、ITSスポット対応という呼ばれ方もしており、ここ2〜3年に新車を購入した方は対応している場合もあるのでご確認を。またナビも同様で新型は対応ずみのものが少なくない。
ちなみに最新のETC2.0対応車載器が量販店の実勢価格で2万5000円ほどからとなっている。冬のボーナスで装着してみてはどうだろう。今後どんどんサービスが広がっていくETC2.0の未来は明るいぞ!
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