【たかがナンバー、されどナンバー】ナンバープレートの地名表記の謎

【たかがナンバー、されどナンバー】ナンバープレートの地名表記の謎

 クルマは登録すれば必ずナンバープレートが装着されている。日本のナンバープレートは大きすぎる、形状が不格好などと不評もあるが、普段何気なく見ているあって当たり前のナンバープレートにもいろいろ隠された面白話が存在する。

 ナンバープレートのひらがなで、『お』は『あ』、『す』、『む』と間違えやすい、『し』は死を連想させ縁起が悪い、『へ』は屁を想像してイメージが悪い、『ん』は発音しづらいという理由でが使用禁止になっている。

 縁起やイメージを気にしているのも意外だがこのことはいろいろなメディアでも取り上げられているため一般にも認知されてきている。

 そこで今回は少々マニアックなナンバープレートにある地名表記に注目していきたい。

文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカー編集部、ベストカーWeb編集部


ナンバープレートの規定は意外に緩い!?

 ナンバープレートには、漢字またはひらがな表記された地名、3ケタの分類番号(最近ではアルファベットもあり)、ひらがな1文字、数字は4ケタでワンセットとなっている。

 実はクルマのナンバープレートについては、数字以外の文字は、地域によって千差万別、同じ文字でも全然違うものも存在するのだ。統一しているほうが偽造防止にも有益なはず。

公道を走るためにはナンバープレートの装着が必須。デザインについては賛否あるが、ナンバープレートは意外に謎が多いもので、それだけに研究しがいがある

 クルマに関しては、いろいろなものが事細かく規定されていて、ナンバープレートについても道路運送車両法でナンバープレートの表記について規定されているのだが、規定されているのは『ひらがなの記載』についてのみなのだ。

 つまり、地名の表記については規定が存在していない。

 自動車の登録業務は全国の陸運支局が行っているが、ナンバープレートの交付については、代行業者に委託している。

 規定のあるひらがなについは現在でこそ標準書体なるものが存在するが、その標準書体が決められる前から使われている書体なども現在で流通しているため、標準書体のあるひらがなですら若干書体が違うものが存在している。

 それに対し、地名を表記する文字については規定がないこと、若干の誤差が認められていることにより同じ文字でも若干違っていたり、個性的な書体を使っているケースもある。

 2019年6月現在、地名は全国で105種類存在している。ご当地ナンバーを積極的に取り入れているため著しく増加していて2020年度の交付予定で、新たに17地域が加わるので、222カ所となる。

 105地域で地名表記に使われている文字は、漢字、ひらがなを合わせて225文字あり、重複して使用されている文字を多い順にみていくと『山』が8地域、『川』が6地域、『宮』、『島』、『岡』、『崎』が5地域、『田』、『福』が4地域となっている。

一見同じように見えるが、三者三様の福の文字を使用している。しめすへんは福岡が最も個性的だし、田の部分では福井がブランクが大きく、福島、札幌は小さいのが特徴

 ここでは、福島ナンバー、福井ナンバー、福岡ナンバーの『福』の文字、大宮ナンバー、宮崎ナンバーの『宮』の文字を比べてみた。

『福』については、じっくり見ると福の右側の田の部分、しめすへんの形状がそれぞれで若干違うのがわかるはず。

 それに対し、『宮』の文字は大きく違う。ちなみにこれは、大宮ナンバーのほうが一般的な宮の字で、宮崎ナンバーが個性的な書体を使っているケースだ。

 信号待ちしている時などナンバープレートの地名表記部分に注目してみるのもおもしろい。特に旅行先、出張先など普段の生活圏とは違う場所に行った時はおすすめだ。


同じ宮の文字でも大宮と宮崎では全く形状が違う。宮崎は左右対称、大宮は左右非対称という違いもあるが、宮崎の下の口部分が大きく広がり、文字として安定感がある

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