巨大&派手なリアウイングがめっきり減った理由
大きな理由としてはどちらが先がともかくとして2つある。
(1)巨大&派手なリアウイングを敬遠する人が少なくない数出始めた
巨大&派手なリアウイングが「好き、カッコいい」という人がいるいっぽうで、派手なクルマが好まれなくなってきた世の中の流れや、高性能車≒高額車ということもあり購入する年齢層も上がってきており、「巨大&派手なリアウイングはちょっと」という人も増えていると思われる。
そのため日本車では2004年のインテグラタイプR (DC5型)のマイナーチェンジで巨大&派手なリアウイングに加えローハイトなものを選択できるようになった。2007年登場の現行GT-RはNISMO以外のリアウイングはそれほど大きくない。
また2007年登場のランサーエボリューションⅩでは途中から巨大&派手なリアウイングに加えリアウイングレスが設定され、現行WRX STIでもリアウイングは控えめなリップタイプが標準で、巨大&派手なリアウイングはオプションとなっているくらいだ。
輸入車も一例としてポルシェ911を見ると、標準モデルは3代目となる964型あたりからリアウイングは任意&自動で必要なときに電動で現れる格納式となった。
911ターボではリアウイングはあるけど世代が進むごとに控えめな形状になる方向で、巨大&派手なリアウイングはGT3やGT2といったハイエンドの特殊なモデルに付くくらいとなっている。
(2)ボディ下面でダウンフォースを得られるようになった
昨今は空力技術の向上でリアウイングに代表されるボディ上面だけでなく、ボディ下面でもダウンフォースを得られるようになっている。
その代表が後方に向かって跳ね上がり気味のリアバンパー下部に付くフィン状のものがいくつか並ぶディフューザーだ。
特にボディ下面がフラットなクルマにディフューザーが加わると、整流された空気がディフューズ(拡散)され空気の流速が速まることで強い負圧が発生し真空状態に近くなり、ダウンフォースが発生する。
振り返ると市販車でディフューザーを装着するのが早かったのは、巨大&派手なリアウイングでも名前が挙がったR34型GT-RのVスペックであった。
このようにボディ下面でダウンフォースが発生できるようになったことで、空気抵抗が増える傾向にある巨大&派手なリアウイングの必要性が薄れたのも、前述したように巨大&派手なリアウイングが付くのは高性能車の中でもさらにダウンフォースが欲しい特殊なモデルがほとんどになった背景といえるだろう。
リアウイングは大きさ、形状などにもよるが、80km/hくらいから効果があるといわれているが、これは誰もが体感できるレベルではない。ダウンフォースが増えてスタビリティが増すのを体感できるのは日本の法定速度をはるかに超えた領域での話。
高性能のスバルWRX STIですら大型リアウイングがオプション化されているのが何よりの証拠で、日常使用で大型のリアウイングがないから危なくて走れないということではない。
かつて隆盛を誇った大型リアウイングは性能を追及しつつ見た目が派手なことが重要でそれは当時のユーザー高性能車に求めたものだった。
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