3Dスキャナーの高性能ぶりにビックリ!
さて、3Dスキャナーにも計測のメカニズムに種類があるが、自動車メーカーが開発中の新型車のボディ計測に採用しているのがドイツ、gom社の光学式3Dスキャナー。
人テク展では、gom社の日本代理店である丸紅情報システムズが最新の3Dスキャナーや工業用X線CTなどを展示していた。
gom社の光学式3Dスキャナーは、ステレオカメラの中心にレーザー光線によるプロジェクターを配し、対象物の表面に模様を投射して、それをステレオカメラでキャプチャーすることにより三次元の座標を得る仕組み。
カーナビのGPSなどと同じく根本的には三角法で位置情報を算出している 。凄いのはそのスピードと正確さだ。最高機種では1秒間に1200万点もの座標を測定することができる。
そのうえ、精度も物凄い。対象物の大きさや距離によって変わってくるが、エンジン部品などの金型の精度を非接触で測定できるのだから、1レベルの精度があることは想像するだけで分かる。
実際に使っている原製作所に話を聞くことができた。こちらはフォードマスタングを1台まるごとスキャンしている模様を原寸大のパネルにしてブースの壁面として展示。
そのインパクトの大きさと、実際の作業の雰囲気、そして計測データの状態などが良く分かる内容に仕上げられていた。
同社では、小さな精密部品から航空機までさまざまなモノを計測しているが、クルマの車体をまるごと計測することも多く、なかにはレンタカーなど車両を用意するところから依頼されるケースもあるそうだ。
依頼の目的はレーシングゲーム用のデータ取得から、ライバルメーカーの車体分析と思われるものなど、いろいろあるようだ。
ちなみにクルマ1台を3Dスキャンしてもらう場合、期間は1カ月ほどで費用はおよそ100万円、データを3D CADで使えるモノに変換する場合、3カ月ほど掛かり、費用も300万~400万円ほどになるそうだ。
海外で走っているクルマの情報、映像をクラウドで遠隔監視
もう一つ、目からウロコだったのは、自動車メーカーが新型車の開発に使っている、クラウドを使った走行データのロギングサービスだ。
デジタルタコグラフ(トラックなどの走行履歴を管理)の一種かと思ったら、それよりもはるかに高度な内容だった。
F1マシンなどが車体の情報をピットのスタッフに送るテレメトリーシステムは、リアルタイムで本社の研究所も共有しているといわれているが、アレに近いシステムだ。
しかも車体のCAN情報のほか追加したセンサーやドライブレコーダーの映像も確認できる分、より高度なモノといえるだろう。
自動車メーカーは世界中で開発中のクルマを実際に走らせてテストしているが、今や車体側で走行データをロギングして、持ち帰って分析、検討するようなやり方から、テスト走行中のデータを常にクラウドで収集して解析することでスピード化を果たしているのである。
このintdash Automotive Proを開発、提供しているのはアプトポッドという企業。クルマ以外にも様々な産業の遠隔操作やデータ収集、データの可視化のソリューションを提供しているそうだ。
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